稽古場日誌
テンペスト(2018年) 倉品 淳子 2018/03/14
山の手事情社としての海外公演は、5年ぶりのこと。
2009年から2013年までは毎年のように行っていたので、なんだか久しぶりに感じます。
なぜわざわざ海外で公演をするのでしょう?
ハクをつけるため? まあ、多少は役立つかもね。
ついでに旅行したいから? いや、だったら観光旅行したほうがいいって!
新しい観客や価値観に出会うため? それはもちろん! あるよね。
理由はほかにもたくさんあると思います……が。
私は、ひとつの仮説をたてました。
それは、「アーティストの人材育成のため」というものです。
私たち山の手事情社の劇団員はほかの劇団より、アーティストである事を要求される事が多いです。
演出家でもないのにシーンを作ったり、脚本家でもないのにセリフを作ったり、ダンスの基礎知識もないのに、振りをつけたりします。
じゃあ、アーティストの仕事ってなんなんでしょう?
私は「世界を切り取って見せる」ことだと思っています。
世界は私にはこう言う風に見えるんだよねって、提示する事だと思っています。
一体誰に見せるんでしょう?
私たちは、山の手事情社の劇団員であり、東京に住む人であり、日本に住む日本人であり、地球に住む地球人です。
だから、劇団員や、東京人や、日本人や地球人に見せるために、世界を切り取る必要があるんです。
海外公演をすれば、世界が見えるのかって聞かれたら、そんなことはない。
と答えるでしょう。
でも、意識を広げる一歩にはなると思っています。
世間は「劇団員」という名前を私たちにつけ、なかなかアーティストとしてカテゴライズしてくれないことが多いです。
だから、私たちは私たちを育成するために、海外公演に行くのかもしれません。
まあ、これは、私の個人的な意見ですけどね。
特に、若い才能たちが、これからのアーティストとして日本で表現していく基盤になればいいなあ、と心から思います。
倉品淳子
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劇団山の手事情社ヨーロッパツアー壮行公演『テンペスト』
(下丸子×演劇ぷろじぇくと2018特別企画)
日程=2018年4月12日(木)~13日(金)
会場=大田区民プラザ 大ホール
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