稽古場日誌

テンペスト(2018年) 名越 未央 2018/03/31

真実を探して

『テンペスト』は、魔法や妖精が出てくるファンタジー。
裏切りと復讐の陰謀渦巻くサスペンス。
国を追われた元お姫様が王子様と恋に落ちるシンデレラストーリー。

なんだかこう書くとディズニー映画みたいな感じがしてきますね。
でも山の手事情社の『テンペスト』はそんなかわいい雰囲気ではありません。かと言って、シェイクスピアが描いた原作の世界を無視して創作しているわけではもちろんありません。

いい物語って、幾通りもの解釈ができるもの。
書かれた言葉は事実としてあるが、ではそのセリフの裏にどんな真実を見つけ出せるのかは、いまや劇団山の手事情社と観客の皆様次第なのです。

さきほどシンデレラストーリーと言いましたが、もともと民話として伝承されていたシンデレラの物語にだって、たとえばこんな真実が。

王子様はなぜあんなに“靴”にこだわって結婚相手を探すのか?

実は靴はもともと、ヨーロッパでは女性器の暗喩でした。女性器にぴったりはまる相手を探しているとはつまり、セックスの相性が抜群の女を求めているということ。結婚に必要な条件として、かなり真実味があります。

また片靴は娼婦の意味合いもあり、シンデレラはかなり性に奔放な女性ととることができます。対して意地悪な姉たちは、無理やり靴を履こうとして足を切り落として血を流すのですが、つまりは処女で王子のお気に召さなかったとも。
これらはあくまで、たくさんある真実のうちの1つなのだと思います。

『テンペスト』には、いったいどんな真実が隠されているのでしょうか。
400年間世界中で愛され上演されてきた戯曲に、現代の私たちあなたたちだからこそ実感できる新たな真実とは? 日本を飛び出して世界に探しにゆけるとは、たまらなくわくわくします。

名越未央

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劇団山の手事情社ヨーロッパツアー壮行公演『テンペスト』
(下丸子×演劇ぷろじぇくと2018特別企画)
日程=2018年4月12日(木)~13日(金)
会場=大田区民プラザ 大ホール
詳細はこちらをご覧ください。

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