稽古場日誌

喜多 京香 2018/06/19

豊かな関係

今年度より、新しく劇団員になります、喜多京香です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

演劇経験がほとんどなかった私は山の手事情社の研修生になる前、演劇というものに対して正直、「演技が上手いかどうかを競い合うもの」のような印象をもっていました。もちろんそれだけだとは思っていませんでしたが、語りが全てというのでしょうか、そんな世界だと思っていました。

しかし、山の手事情社での2年間の研修を経て、演劇、またその稽古場の豊かさに感銘を受けました。
稽古場では、個人のどんな想像や妄想を板の上に乗っけたっていいのです。さらにその想像や妄想にどっぷりと浸るための作業が、今までにない感覚でした。
かなり繊細に神経を使うし、不可能なことを可能にするような勢いも必要です。
それが上手くいった時の身体はとても素敵です。本公演でたくさん目撃してきました。

人の身体から、念やオーラのようなものを感じるのです。これも単なる当事者の妄想に過ぎないのですが、妄想させる、妄想させてくれる、そんな関係が生まれる空間とは、実に豊かだと思いませんか。

そんな豊かな関係性を私も築き上げていきたい、そう思っております。
人という生き物が生み出せるものは、宇宙のように無限で、未知なるものだと思います。
私の妄想により皆さまと豊かな関係が築けますよう、これから精一杯努めて参ります。

喜多京香

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