稽古場日誌
宮城へワークショップに行ってきた。
対象は高校の演劇部に所属する生徒さんたち。
リーダー研修という名目で各校からメンバーが選出されて参加するということだ。
これからの宮城の演劇界を支えていく人たちですね。
ぜひ、よい体験をして自分たちの学校に持ち帰ってもらえたらと思う。
さて、今回のワークショップの最終ミッションは、何名かずつのチームに分かれて、最終日に寸劇を発表することだ。
発表会場は和室、会議室、劇場、劇場のロビー、体育館などさまざまな部屋が割り当てられていて、その場所をどう使うのかも、また腕の見せ所である。
ふすまを開けたり閉めたりしながら、その背後で人物がうごめくインスタレーションっぽいものや、歯のうくような告白調の文章をかわいい声で朗読して、それを聞いて悶絶するといった短いシーンで構成された盛りだくさんな内容で、女子高生演劇博物館といった体の中川チーム。
教室という設定から、長机を組み替えながら場所を変化させ、カラオケで湘南乃風を熱唱。どこかフリースクールの雰囲気を感じさせる谷チーム。
卒業式が終わった空っぽの体育館で、女子に告白したり、喧嘩が始まったり、女子が男子を土下座させたり、男子は土下座のまま合唱したりと、だだっ広い空間によい空気感で声がこだまする大久保チーム。
母への愛を絶叫しながら走り回り、やはり絶叫調の高いテンションで寸劇を演じる越谷チーム。
劇場のロビーを空港に見立て、修学旅行に出発する前の高校生たちを描き、どこか青年団の芝居を思わせる川村・安部チーム。
劇場での発表だったが、舞台と客席をひっくり返し、劇場の客席を映画館のそれに見立て、観客は舞台に腰をおろし、客席で映画の上映を待つひとたちの芝居を見るという視点が逆転した小笠原チーム。
創作に与えられた時間は、3日間で合計すると11時間ほど。どのチームもこの時間でよくまとめられるものだと感心することしきりでした。
ちなみに、斉木のチームはゲームの「人狼」をベースに、いじめられっ子がゲームマスターとなって、自分をいじめた人たちを教室に集め、誰が自分をいじめた狼(犯人)なのかゲームの参加者に裁かせるというものでした。
前回、このワークショップに行ったときは、小道具にトタンの缶がどうしても使いたくて、夜の宮城を駆けずり回ったが、今回はインターネットで「人狼」のルールブックを熟読。ゲームのルールを頭に叩き込んで、翌日シーンをがしがし作っていく。「人狼」のゲーム通りに進行するようお題を設定して、即興でやってもらって、短いパーツを作り、それをつなげていくという工程。
台本があったり、話し合いをしながら作ることには慣れていたようでしたが、設定やお題だけあって即興で作っていくのはなかなかたいへんだったのではないでしょうか。
ワークショップに参加したメンバー同様、斉木も脳みそも身体もフル回転の3日間でした。
斉木和洋