稽古場日誌

仮名手本忠臣蔵 2018/08/29

『忠臣蔵』討ち入り瓦版 6 〜名前が覚えられなくて、夏〜

古典の作品は、まず名前が難しい。
そして、人物相関図も、すごくややこしい。
これは、日本作品、海外作品に限らない。
まずは、名前の難しさについて検証してみたい。

●シェイクスピア作品の愉快な役名
パック、ヘレナ、ロミオ……大丈夫、覚えられそう。
タイタス・アンドロニカス、サターナイナス、パンダラス、ディーフォーバス、パリス……「ス」が多いな!
最後のパリスすら入って来ないよ。

●チェーホフ作品の愉快な役名
コンスタンチン・ガヴリーロヴィチ・トレープレフ、
ニーナ・ミハイロヴナ・ザレーチナヤ、
マリヤ・イリイニチナ・シャムラーエワ……!!
長ぇーーー! 
劇中は「マーシャ」としか呼ばれないのに、「マリヤ・イリイニチナ……」?
しかも「トレープレフ」と呼ぶ人もいれば、「コースチャ」と呼ぶ人もいる。

いい加減になさいよ。
ただでさえ、横文字の名前に慣れちゃいないんだ。我らは。
人物相関図までこじれてしまったら、何を足掛かりに観れば良いんだ!?

やっぱり、和物だ。
日本人なんだから、日本人の事は分かるに決まっている。

●『仮名手本忠臣蔵』の愉快な役名
高武蔵守師直(こうのむさしのかみもろのう)、塩冶判官高定(えんやはんがんたかさだ)、大星由良助義金(おおぼしゆらのすけよしかね)……。
長ぇーーーーよ!
すでに挫折しそうだ。
男性は、役職や身分で名前が立派になるのだろうけど……けど!!

うって変わって、女性役は、おかる、おかや、おいし……
短っ!
なんだ、これは!
現代なら、何某かのハラスメントだ。
300年後の今、右を見ても、左を見てもハラスメントと叩かれる。
正直、仇討ちをする以前に、忠誠心すら微妙だ。

前置きが非常に長くなりましたが、
『仮名手本忠臣蔵』の世界は、名前も相関図も非常に入り組んでいます。

歌舞伎などでは、1つのシーンを2~3時間かけて上演されていますが、
今回の企画では、11に渡るシーンを、約2時間に凝縮します。

なので、
1つ1つの台詞に、言葉に、ものすごく意味やドラマがあります。
この、省きに省いたテキスト作り。
これぞ、山の手事情社のスタンダードなテキストとなります。

安田山手督髭眼鏡雅弘(やすだやまのてのかみひげめがねまさひろ)氏が熟考し作ります。
長ぇーーーーよ!
山の手事情社の代表という肩書きと、トレードマークまで入って長いよ!
はい、安田さん、本当にすみません。

さて、では、
山の手事情社の皆さんは、どうやって作品を深めているのでしょう?

その件は、またの機会に。

演出アシスタント 辻川ちかよ

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下丸子×演劇プロジェクト2018
区民参加劇『仮名手本忠臣蔵』
構成・演出=安田雅弘
原作=竹田出雲・三好松洛・並木千柳
日程=2018年12月15日(土)~16日(日)
会場=大田区民プラザ 大ホール
主催=公益財団法人大田区文化振興協会

『仮名手本忠臣蔵』チラシ(1)

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