稽古場日誌

仮名手本忠臣蔵 2018/11/20

『忠臣蔵』討ち入り瓦版 17 〜例えば、生卵〜

冬の香りがしてきましたね。
大好きな季節です。
相反して、孤独を感じる季節(涙)。
そんな自分を俯瞰するのも、これまた一興。

土日のみだった稽古も、平日の夜にもシーン稽古が増え、いよいよ演出サイドの我々は心配で心配でなりません。

昔、ボス・安田氏が「演出は沢山の心配をする仕事だ」と言われていた意味が、分かり始めている様に思います。

紅葉が色づくのに伴い、俳優達の苦悩の様子も濃くなってきている様に感じます。

そんな七転八倒の様子を、そげさんのコメントでお伝えできればと思います。
そげさん、どうぞ!

↓↓↓
いよいよ本格的に後半戦が始まりました。

自主稽古期間での気づきのお話をします。
あの時、まだ役が掴みきれていないため、立ち稽古になってもテンションが持っていけず、散々な状態。
かなり不安でした。

そんな中、ちかよさんから言われた言葉が私の転機になりました。
「そげさんの雑な部分を存分に出してやってみましょう。」

「雑な部分?」と戸惑いましたが、どうせ迷ってるだけだ。雑さは自慢するほど持っているので余すとこなく出そう!
そう思い、同じ場面を演じてみると、なんということでしょう‼︎
役が自分を飛び出していき、自分が演じているにもかかわらず「この役はこの先どうなってしまうんだろう」という感覚が走りました。
たった一言、思いもよらない言葉で、新しい世界を見る事になるとは……。

でもまだ最初の一皮むけただけです。
私たちの「討ち入り」の日まで進化を続けていきたいと思います。
↑↑↑

何だか、もの凄く持ち上げて下さり、ありがとうございます(照)!

役作りを頭だけで考えたり、「こんな感じで行こう」と決めてしまうと、役が膠着状態になりがちです。
私が、明日の私を読めない様に、自分の役の◯◯さんも、常に不安定な人です。
その場で◯◯さんが生きている。それを見たい。

もしかすると、明日の私は、どこかの誰かに生卵をぶつけられるかもしれません。凄くビックリすると思います。

例えですが、私はそげさんに、生卵をぶつけてみただけです。その結果出てきた反応は、相当面白かった。
忘れてほしくないのは、あの時に出てきた感覚の再現ではなく、言葉にできない「新鮮さ」を貪欲に追求して欲しいという事です!

そげさんの「新鮮さ」を、まだまだ見たい!
期待、大。

ついでの欲望ですが、明日の私に、1,000万円の寄付金をぶら下げた、高橋一生似の素敵男子が「いつもジャージで自転車を走らせている君に惚れた」という事件が起きないかなぁという期待も、一応しておきます。
期待、薄。

演出アシスタント 辻川ちかよ

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下丸子×演劇プロジェクト2018
区民参加劇『仮名手本忠臣蔵』
構成・演出=安田雅弘
原作=竹田出雲・三好松洛・並木千柳
日程=2018年12月15日(土)~16日(日)
会場=大田区民プラザ 大ホール
主催=公益財団法人大田区文化振興協会

『仮名手本忠臣蔵』チラシ(1)

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