稽古場日誌

あたしのおうち 髙坂 祥平 2019/01/28

人生の分かれ道

山の手事情社との出会いは、19歳の時。当時通っていた専門学校にワークショップのチラシが張り出されていた。1日体験型で1000円という破格の安さに釣られて申し込んだ。

稽古場に行くと、物凄く痩せており贅肉など余計なものを一切感じさせない劇団員が、古い一軒家に招き入れてくれた。そこは、狭くて、床からは長年に渡って蓄積された汗の匂いが立ちのぼってくるようだった。
当時の学校の授業では、全面鏡張りのキレイなスタジオを使用していたため、想像していたのとあまりに違い驚いた。

年齢もバラバラ、色々な事情を抱えた男女10人ほどが集まり、ワークショップが始まった。テキストは使わない。覚悟を決めて、自分をさらけ出し体当たりで学んでいく、己の身体と声と魂に向き合うのみ、という感じだった。
苦しかったけど、稽古場は異様な熱気で包まれていた。存在感を示すほか無かったように感じる。

半日かけたワークショップ終了後、どこか不完全燃焼だった私に気付いて、劇団員が話しかけてきた。
「じゃあもう一度やってみようよ」と言い放ち、そこからまた稽古が始まった。誰も帰らない。

「もっとなりきれよ!」と罵倒されながら、稽古場は先程の倍以上の熱気に包まれていった。必死で自分の中の何かを出そうともがいてる姿は、滑稽だったに違いない。

結局その日は終電を逃し、当時住んでいた埼玉まで歩いて帰った。異様な体験をした後だったからなのか、わけのわからない自信とワクワクが私を奮い立たせていた。

この時の感覚が病み付きになった私は、山の手事情社の研修生に志願をし、今日に至る。

修了公演に出させていただくのは、2回目になります。観に来て下さるお客様を非日常の世界に少しでも誘えるようがんばります。

髙坂祥平

**********

あたしのおうち

2018年度研修プログラム修了公演『あたしのおうち』
日程:2019年3月6日(水)~10日(日)
会場:大森山王FOREST
詳細はこちら

2019年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
オーディション開催中
詳細はこちら
年間ワークショップ参加者体験談
年間ワークショップカリキュラム

稽古場日誌一覧へ