稽古場日誌

あたしのおうち 安部 みはる 2019/02/14

こんな稽古をしているのは(たぶん)山の手事情社だけです

《山の手メソッド》で最高に難易度の高い稽古といえば、やはり《ものまね》だろうと思う。
有名人の真似ではなく、自分の身近な人物を真似し、3分~5分の作品を作って発表する。
研修生になって1、2ヵ月経つと発表日が設定され、簡単に説明を受けて《ものまね》を作って来い、と言われる。
何をしたらいいのか、誰を真似したものか、どうしていいのか。
みな頭を抱え、悩み苦しみ、寝ても覚めても頭から離れず、ご飯がのどを通らず、緊張で青い顔をしながら発表に至る。
何年経っても苦しいのは楽にならない。
そして、劇団員であれば必ず玉砕した苦い経験がある。
私も本当にたくさん玉砕してきた。
何度、同期と帰り道の飲み屋で反省会をしたかしれない。
ちなみに、失敗作の一部としては、
「おしり宇宙人」
「ふられた洗濯ばさみ女」
「下ネタクイズの女」
などなど。

ただ……見るのは本当に面白い。
それぞれの俳優の日常生活や考えていることが垣間見え、成功すると本当に笑える。誰かに面白い発表をされると非常に悔しい。
自分の作品が修了公演に採用されたときはうれしかったし自信になった。
最近思うのは、「恥」ときちんと向き合えている作品は面白い、ということ。他人を見ている時感じている、自分の中にある「恥ずかしさ」に逃げずに向き合うこと。ピリピリした部分を見逃さない事、それが大事。他人を見る目は自分を見る目だ。
誰しも、自分の気持ちを見せるのは恥ずかしい。真夜中のテンションでツイートしたポエムを昼間に見返すように恥ずかしい。
今年の研修生たちも、そんな気持ちと戦っているだろうか。
こんなに恥ずかしいのは間違っていると思うかもしれないけれど、それであってます! たぶん。
あとは思いっきりやってほしい。
そして、そんな今の彼らを見られるのは今だけです。

安部みはる

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あたしのおうち

2018年度研修プログラム修了公演『あたしのおうち』
日程:2019年3月6日(水)~10日(日)
会場:大森山王FOREST
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2019年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
オーディション開催中
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