稽古場日誌

methods&過妄女 越谷 真美 2019/05/12

価値ある舞台

アレッサンドラ・フェリが踊る『ロミオとジュリエット』が昔から大好きで、女子校育ちだった私は、恋といえば、フェリのジュリエットをイメージするようなヲトメでありました。

参考までに → https://youtu.be/KS10pzxE4eQ

動画は引退間近の40代半ば頃のものだと思いますが、彼女は19歳でこの役が当り役になって、この後「踊る女優」と言われて数々のドラマティックバレエを踊りました。
最近、50歳を過ぎて再びバレエに復帰して話題になっています。

私は身体のラインフェチでして、内面やら音楽性やら、精神性やら、何か目にみえないものが視覚化される喜びといいますか、そういう瞬間に興奮と幸せを感じます。

高校生の時、バイトで貯めたお金で、フェリのジュリエットを初めて生で観に行ったんです。ロミオと初夜を過ごしたあとジュリエットがベッドでひとり座っているシーンがあって、音楽は流れているのにフェリはまったく動かない。しばらく動かないのですが、私はその時、人生で一番といっていいほどの感動を覚えました。魂が震えるとはこのことかと。
マクミランという振付家の構成もすごいのですが、他のバレリーナにはこの間を埋めることはできないなあと思っています。
何万円出しても観に行きたい舞台でした。

山の手事情社の《四畳半》にもそんなロマンがあると思うんです。豊かなイメージの宿る身体が。

しかし、理想が高いばっかりで現実はなかなか。家に帰ると、寝転がってお腹とお尻だして「ママ大好き過ぎる~」ってクネクネしてくるうちの娘がいて、次元は違えど豊かな表現をするやつがここにもと、子供にも負けそうな自分にいつも泣きそうですが。

いよいよ挑戦するチェーホフの『かもめ』にも恋がいっぱいあります。
どんな身体が現れてくるのでしょうか。
フェリさま、舞台の神様!

『過妄女』どうぞお楽しみに。

越谷真美

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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『methods』2019年6月21日(金)~24日(月)
『過妄女』2019年6月26日(水)~30日(日)
会場=下北沢 ザ・スズナリ

詳細は こちら をご覧ください。

『methods』&『過妄女』

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