稽古場日誌

methods&過妄女 佐々木 啓 2019/06/14

腹の立った話

世の中の人間をイジる奴、イジられる奴に分けるとすると僕は確実にイジられる奴に分類されると思う。
僕にとってイジられることはとてもありがたいことだと思う。これといって特徴のない僕を引き立て、少しでも輝かせてくれるのだから。
ただこれはイジるのが上手い人に対しての想いであって、イジるのが下手な奴に対しては感謝どころか怒りの感情が湧いてくる。

まず基本的にイジられる側は常に事故と隣り合わせだ。イジる側が下手だと何故かイジられる側がスベった感じになることがある。この際だからハッキリ言っておこう。この様な場合大抵イジる側に問題がある。
ここで最低のケースを見てみよう。

イジり下手「佐々木、なんか面白いことやってよ」
僕「え? え、えーと……」
イジり下手「はぁ〜、つまんねえな、お前いつまでたっても成長しねえな」

おかしいですよね。変ですよね。程度は違うにしろこういったケース、よくあるんです。
まず、イジる側が異常に偉そうにしていますね。「しょうがねぇ、俺がこいつを面白くてしてやるか!」という心理が働いているためです。「面白くしてやる」と考えている時点で上下関係が生じています。既に対等ではないのです。更に注目すべき点は責任の重さです。例を見てもイジる側と僕の責任の重さ、発言の難易度が全く違います。現場では僕の立場の人がスベったことになります。
本来ならば2人で場を盛り上げなければいけないのに関係が対等でないだけでなく、仕事の量も質も比べ物になりません。

ハッキリ言わせていただく。イジり下手にイジられた時ほど嫌なことはありません。そして、イジる側よりイジられる側の方が負担が大きく、技術が必要です。イジり下手はイジられても面白いリアクションは取れません。
合気道でも上手く技をかけてもらえないと受け身を取れません。インチキになってしまいます。
「どうせ俺を使うなら美味しく調理してくれ! 俺も頑張っていい味出すからさ!」
というのが僕の、イジられる側の本音です。
もちろんイジり上手な人にイジられると本当に気持ちよくて、楽しいです。なのでイジられること自体は基本的に好きですし、感謝しています。

最後にこれだけは言っておきたい。

[イジる奴がいるから、イジられる奴がいる]のではありません。
[イジられる奴がいるから、イジる奴がいる]のです。

『methods』では、イジられ役に徹します!
以上です、ご清聴ありがとうございました。(礼)

佐々木 啓

**********

劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『methods』2019年6月21日(金)~24日(月)
『過妄女』2019年6月26日(水)~30日(日)
会場=下北沢 ザ・スズナリ

詳細は こちら をご覧ください。

『methods』&『過妄女』

稽古場日誌一覧へ