稽古場日誌

methods&過妄女 渡辺可奈子 2019/06/19

演劇の総合格闘技

テレビで総合格闘技の試合を見ていた。
相手がどんな技を繰り出すのか、張り詰めた空気の中、全力で殴り合い勝敗が決まる。
試合が終わるとスッキリとした顔で握手をしたり、抱き合う姿を見て、なんと爽快な瞬間だろう。と感動した。

これはお互いが今日までの鍛錬の成果を余す事なくぶつけ合っているからこそ、みている観客を魅了するのだろう。

これは演劇も同じなのかもしれない。

特に《山の手メソッド》は、演劇の訓練方法と表向きでは言っているものの、蓋を開けてみれば何かの試合をしているようなものだ。

最低限のルールはあるが、実際は何をやってもいい。個人戦もあればチーム戦もある。個人の今日まで培って来た知識と知恵と身体を絞り出し全力で表現する。勝敗は判定で決まる。それは他者が判断してもよし、自分で考察してもよし。面白ければなんでもいい。

要するに《山の手メソッド》は演劇の総合格闘技みたいなものなのだ。
ゴングが鳴ったら、そこからは戦いなのである。

そして試合(演技)後に握手したくなるような瞬間は、私の中では度々ある。

今回の『methods』でも色々な《山の手メソッド》をお見せするのだが、その中でも特に今回私がご注目頂きたいのは《ショートストーリーズ》である。

私が主に出ているからと言うのはさておき、その日その場でお客様からお題をいただき制限時間以内に5分程度の寸劇に仕上げる。そりゃもう色々試される訳です。その日その瞬間にしか見られない試合(ドラマ)がそこにはあるのです。今から緊張していると共に、はやく戦いたくてしょうがないのです。

観に来ていただいた皆様には、総合格闘技のような緊張感と爽快感を是非味わっていただきたい。

渡辺可奈子

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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『methods』2019年6月21日(金)~24日(月)
『過妄女』2019年6月26日(水)~30日(日)
会場=下北沢 ザ・スズナリ

詳細は こちら をご覧ください。

『methods』&『過妄女』

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