稽古場日誌

桜姫東文章 川村 岳 2020/02/07

分からないとは

最近昔の邦画にハマっている川村です。
登場人物の多くが、ギラギラしたオーラを纏っているところに惹かれます。

この前、今村昌平監督の『復讐するは我にあり』を観ました。
実際にあった事件を元にした映画で、出会った人を次々殺めてしまう逃亡犯を緒形拳が演じています。
暴力的でもあり、冷静で理知的でもある逃亡犯が本能のおもむくまま罪を重ねていく様に、理解できない魅力を感じました。

終盤、捕まった逃亡犯が三國連太郎扮する父親と面会するシーンで
「あんたを殺しておけばよかった」
と言います。

この時、逃亡犯の憎しみの元凶は父親だったと示されるのです。

ただ一つ疑問が残りました。
父親が憎いというだけで、多くの人を殺める理由にはならないのでは? と私は思うのです。

でも良いのかな。
だって人の中身はよく分からないし、理由なく衝動的に生きることもあるでしょう。
シーンひとつひとつを切り取って見ると、それぞれのシーンの熱量が半端ない。
それで良いんだ、と妙に納得してしまいました。

分からないものはワカラナイ! けどワカラナイはツマラナイ訳ではない。

この辺って演劇が得意としている事じゃないかしら?
『桜姫東文章』、よく分からないですハッキリ言って。
だから「ワカラナイ面白いモノ」として舞台に上げられれば良いなと目論んでいます。

川村岳

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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『桜姫東文章』2020年3月14日(土)~17日(火)
会場=東京芸術劇場 シアターウエスト

詳細は こちら をご覧ください。

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