稽古場日誌
この年齢になっても、もし違う職業についていたら、と時々想像をするのは、よくある話。そんな時、舞台芸術というジャンルって、ヘンな職種だなあと思う。
世の中には、様々な職業があるけれど、生産から販売まですべてに携わる職業というのは、案外少ないのでは、とふと思う。
どんな職業でも何かしらの商品を生産し買い手がいる、という関係性はあるけれど、商品の細部に渡るまで生産し、買い手に直接届けるという意味では、実はあまりないように思う。例えば、コンビニの店員さんは、商品を売ることが専門だし、車を売る会社は、各パーツで作る人が異なり、また販売する人も異なる。
一方、舞台芸術とか音楽のライブとかは、種のような状態から育てて、作物にして、それを調理して直接提供しお金をいただく、といった感じ。しかも、最後は形に残らない生産物。(もちろん、DVDやCDなどの形が残る生産物も現代ではできるけれど、それは本質的な意味で少し違う。)
まして、商品が自分自身の想像や身体や声で作り上げた生産物という意味で、舞台芸術や音楽は、稀有な存在なんだなあと思う。
携帯電話やPCが普及していない頃に比べたら、アナログな作業は多少減ったけれど、本質的な部分は、きっと大昔から変わらないのが舞台芸術なんだと思う。
現代の細分化・コンピューター化された世界に疲れている方、ぜひ、ザ・アナログの代名詞といってもいい演劇に身を浸してみませんか。
小笠原くみこ
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