稽古場日誌
ワークショップ学生のための演劇サマー&ウィンタースクール 名越 未央 2020/09/15
2020年8月、毎年恒例の学生向けワークショップを開催した。
コロナなんてなければ、
オリンピックに沸き立つTOKYOの片隅で、オリンピックにも負けない熱い汗と涙が流されたこの3日間を、誰も知らない……
というような日誌だったんだろうなきっと。
多くの学生が、サークル活動どころかキャンパスへの立ち入りすら禁止され、まぁでもこんな窮屈な生活もすぐに終わるだろうと甘く見ていたらいつの間にか夏も終わりそうで、このままじゃ嫌だ、何かしたい、なにかしなくちゃいけない気がする、そんなフラストレーションを抱えて集まってきていた。
沸き立つどころかどんよりと暗いTOKYOの片隅で、それを吹き飛ばすように抗うように笑い飛ばすようにあがくサマースクールは、いつも以上に清々しく熱い熱いワークショップとなった。
コロナなんてなければ、なんて嘆いてもどうしようもない。
行きたいところに行けない、会いたい人に会えない、やりたいことがやれない。そういう状況はむしろ表現するためのエネルギーの源となって、演劇を、劇団を、一人ひとりの表現者を、前進させうると改めて感じさせてくれた。
このような状況のなかご参加いただき、本当にありがとうございました! アンケートより、参加者の声をご紹介します。
・自分にはなかった視点ばかりで、己の浅さや引き出しの少なさ、未熟さがわかってしまいました。ですが久しぶりに体を動かして、声を出して自分が少し解放されたような感覚もありました。
・とにかく楽しかった。演劇が楽しい! と思えました。
・失敗を繰り返して演劇的な面白さを追及する楽しさを知り、演劇への取り組みがより楽しみになりました。
・身体のどの部位もまんべんなく鍛え方を教えて頂けて、家でも実践できるなと思いました。
・身体が感情に及ぼす影響をしっかり考えることができ、身体的なアプローチがなぜ有効なのかを知ることが出来ました!!
・感情や身体の使い方にもっと繊細になりたいと思わせて頂いた3日間でした。
・これまで様々な場所でワークショップを受けてきましたが、それらの内容とはどれも違ったことで非常に新鮮でした。特にエチュードの多さには驚きました。今回学んだことは今後演劇にも応用できると思えたところもあり、自己分析にもなりました。
・稽古全体の質を高く保っていた川村さんの指導家、演出家としてのレベルの高さを感じました。
・参加することを決めた自分と教えてくれた友人に心から感謝しています。そのくらい素敵なワークショップでした。
新型コロナウィルスの状況次第ではありますが、来年2月にウィンタースクールを予定しています。彼らとの再会、そして新しいメンバーとの出会いを楽しみにしています。
名越未央