稽古場日誌

ワークショップ研修生研修生稽古 研修生 2020/10/26

不要不急、そして、覚悟

2020年度研修生の小西ひろです。

2020年という年はコロナの影響で思いがけない年になりました。誰にとっても痛みがあったのではないかと思います。私は会社員をしながら演劇の勉強を続けていますが、幸い仕事量の減はなかったものの、自宅勤務が続き日常の感覚がガラリと変わりました。ほとんどひとと会うことがなく、外に出ない生活になり、それまで月10本程度だった観劇回数も3月から中止や延期で減り始め、4月からはゼロに。観劇予定だった山の手事情社の『桜姫東文章』もそのうちのひとつでした。7月に久しぶりに劇場へいったときは、分厚かった折り込みチラシの数が客入れ中に繰り返し目を通せるほど少なく、思わず涙が出そうになりました。

「不要不急」という言葉が連呼され、劇場や演劇だけではなく、芸術全体に対して世間の目が厳しいというか、余裕が少なくなっていくように感じました。以前お世話になった劇場の閉鎖もありました。演劇とはなんなのか、自分がやる意味はなんなのか、果たしてやってもよいものなのか、今まで考えなかったことを考え続けました。考えても確かな答えは見つからず、ただただ演劇への渇望から飛び込んだのが、この研修プログラムです。

逃げずに、言い訳もせずに、全身全霊で頑張れる以上のことを出していく、演劇に向き合う、そんな覚悟です。現実には出来ないことしかなく、あるのは焦りと筋肉痛だけです。稽古が終わって帰宅するとそのまま寝てしまうような日々ですが、とにかく、今、ここに生きていこうと思います。

小西ひろ

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