稽古場日誌
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新型コロナウイルスの出現によって、世の中から演劇をやる意義が問われております。
そんな中、今年も研修生が集まってくれました。その中には、それぞれに様々な理由や決断があったことでしょう。
そこで、今回の劇団員による稽古場日誌は「何故ワタシは演劇をやるのか」をテーマとして、今年度の研修生を応援していきます。
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本番前はいつも吐きそうになるほど緊張してしまいます。
始まる前はいつもハアハアと深呼吸を何度もしながら掌に「人」「人」「人」と3回かくおまじないは忘れないです。きっと近くで出番を待機しているメンバーにはうるさいですよね。ごめんなさいっ。
でも舞台に立ち観客の視線を感じているうちに、そんな緊張はふわ〜っと消えて、なんだか海の中を泳いでいるような不思議な感覚に入る時があります。
まるで、もう一人の私がちょっと俯瞰しながら私を見ていて勝手に動かしてくれているような。
頑張って演じているはずの私はこわばりがなくなったような感覚になり、稽古では出て来なかった感情が勝手に湧き上がってきます。
たくさんの人達が私の感情に共鳴し同じ息をしている。
繋がっている感覚を感じる。
なんとも言えない歓びが全身をかけめぐる。
まだまだ力の足りない私には、残念ながらこういった感覚は毎回は起きないのですが、思い出すとまた舞台に立ちたくなってしまいます。
研修生達にもぜひこの感覚を味わってもらいたいです。
きっと演劇やめられなくなりますから(笑)。
山口笑美