稽古場日誌

不安な日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
いよいよ、研修生修了公演が近づいてきました。……というよりは、自分が近づいているのかもしれません。
不安、緊張、高揚感、興奮……様々な感情が渦巻く中で、言葉を紡ぐのはなかなか難しいことですね。

研修生修了公演に向けた稽古の中で、私が最も格闘しているもの。それは、自分自身の癖。
癖といっても、指をポキポキ鳴らしてしまう、髪の毛をすぐ弄ってしまうと言ったものではありません。
私自身がこれまで、生きていくうえで身につけた動きの全てにある「癖」。
歩き方、話し方、発声の仕方、振り向き方、頷き方、そして、なにより自分自身の性格、思考回路。
「なんでもかんでも受け入れすぎ」
研修生稽古の中で最も心に残っている言葉。
この言葉に出会った時、ただただ呆然としてしまいました。
まるで、私自身の普段の性格や思考回路について言われているのかと思ってしまうくらい核心をついた言葉。
演劇として作られた空間の状況や相手との関係性、その空間における自分自身の役割、それら全てをすぐに受け入れてしまう。
それはまるで、普段生活している自分自身のことと重なることでした。そしてそれは、私自身、少し変化が必要だろうと思っていることでもあり、見抜かれているんだと思いました。
普段は意識していないけれども、自分自身の生きた証が演技として外に出てしまっているのだと、しみじみ実感した瞬間でした。

演技とはこわいものです。
どんなに台本を読み込んでも、どんなに練習をしても、最終的に演じるのは自分自身。しかし、舞台に立つ時に、自分自身のままであることはまずない。如何に自分自身の癖をなくしていけるか。
今の私の課題です。

残りの日々、最後まで悔いなく、自分自身の癖と格闘し続け、演劇を生きた自分にどんな変化がおきるか楽しみです。

酒井千秋

■演出の中川佐織から酒井千秋へ質問
Q. 好きなマイナーな童話は? あまり好きじゃないメジャーな童話は?
A. 好きなマイナーな童話は、グリム童話の『おいしいお粥』です。あまり好きじゃないメジャーな童話は『白雪姫』です。

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2020年度研修プログラム修了公演『交交(こもごも)』

日程:2021年2月25日(木)~28日(日)
会場:山の手事情社アトリエ
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