稽古場日誌

交交(こもごも) 研修生 2021/02/12

こもごものけつじつ

短歌や俳句が好きで、本を読むのに疲れた時は適当に歌集を眺めることがあります。自由詩も好きなのですが、定型詩は自由詩と違い、その切り詰められた音数の中に様々な情感を結晶化させます。一文字一文字が選び抜かれている緊張感と単語同士の有機的な繋がりによって、より強度の高い作品世界が作られるのです。
例えば山中智恵子の「星空のはてより木の葉降りしきり夢にも人の立ちつくすかな」という句は、よんだ瞬間その場所に連れて行かれるような力強さがあって好きな句の一つです。
今時流行っていないのかもしれませんが、抑制的ながらかっこいい文学だと思います。

翻って『交交(こもごも)』。「交交」という言葉そのものを考えた時に、相性のいい言葉を探してみようと思ったのですが、一番よく聞くのは「悲喜交交」でしょうか。胸に様々な感情が去来することを「万感交交至る」という言い方もあった気がします。こもごも。口に出すとなんとも言えずもごもごしています。そのなんとも言えなさが、一言では形容しきれない気持ちにちょうどよく添うのかもしれません。

『交交(こもごも)』では、研修生それぞれにわだかまっていた交交を、舞台上で爆発させます。
そのために残りの期間、もっと身体に、相手に、踏み込んでいけるよう頑張ります。

私たちのエネルギーが、見てくださるみなさんに伝われば嬉しいです。
アトリエでお待ちしております。

楠 夏野

■演出の中川佐織から楠 夏野へ質問
Q. ボーイッシュに見える夏野さん。自慢の女らしさは?
A. 肌の感じが柔らかいところだと思います。
ぼーっとしている時や手持ち無沙汰な時、つい触りやすい前腕を揉んでしまいます。

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2020年度研修プログラム修了公演『交交(こもごも)』

日程:2021年2月25日(木)~28日(日)
会場:山の手事情社アトリエ
詳細はこちら

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