稽古場日誌

池上show劇場【DELUXE】 長谷川 尚美 2021/08/20

恐るべし行動力

『如菩薩団』では、なんと女の人ばかり、計10人が登場します。
それだけで実はワクワクします。なんとも珍しい作品です。

まずは女の人8人が集まってお茶を飲む。

似たような環境で育つと会話の内容も思考も同じ方向になりやすく、会話は夫のこと、子供のこと、生活のこと。

現状の不満をただただ愚痴ってうさをはらす。
共感しあう。いわば傷の舐め合い。
あなたのところもそうなのね、とお互いの状況を確認し、妙に安心する。

……あえて、「普通」と書きます。そう、普通はここで終わるのです。

抱えている不満をバッサリ解消しようと、すぐさま行動したりはしません。
愚痴を話している時に、アドバイスや提案なんてされるのもノーサンキューなはず。

でも、この『如菩薩団』では、みんなで一緒に実行に移していく。

なんという行動力、なんという確信犯、なんという自己肯定感!?

話の内容は「とんでも話」なのですが、決して暗くなりすぎず、主婦たちは楽しそう。
そして主婦たちの突き進む行動力には、驚愕というよりむしろ圧巻を覚えます。

丁寧な言葉使いで、「お騒がせして申し訳ありません」「誠に申し訳ありませんが、やらせていただきます」とエクスキューズしながら、自分たちの正義を貫き、自分たちの善悪でズイ、ズイ、ズイ、と一歩もひかずに進んで行きます。

私には繰り返されるこれらの言葉が、もっと大きな、社会とか、人生とか、運命とか、はては神様に向かって物を申しているようにも感じられてきました。

全てを受け入れたこの言葉のもと、繰り広げられるお話を味わっていただければ幸いです。

長谷川 尚美

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『如菩薩団』あらすじ

1970年代、知性的なマダムたちの上品な極悪非道を描いた筒井康隆ワールド。
とある午後、集団で高級住宅街へやってきた安サラリーマンの妻8人。
知性もあり慎ましい毎日を送る彼女たちはそれぞれの胸に激しい不満を抱いている。
そして閑静な住宅街で、とんでもない事件をひき起こす。
しかし、さらりとやってのける重大な不法行為には、すがすがしさやかわいらしさすら感じられるのである。

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劇団 山の手事情社 公演『池上show劇場【DELUXE】』

構成・演出=安田雅弘
日程=2021年9月17日(金)~19日(日)
会場=山の手事情社アトリエ

公演情報詳細は こちら をご覧ください。
配信でもご覧いただけます。

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