稽古場日誌
池上show劇場【PREMIUM】 中川 佐織 2021/10/05
『虔十公園林』は、とても綺麗なお話だ。
現実では、「そんなまさか……」という出来事が、宮沢賢治という神の手によって導かれ、お話は円満な結末を迎える。
何かが噛み合わなければ、虔十(けんじゅう)の杉林は後世に残らなかったであろう。
宮沢賢治は何故これを書いたのか?
もうじき私も宮沢賢治の死んだ歳になる。
そう考えると、優しい人だと言われているが、激情に生きたのではないかと思うし、自分は死に、でも生き続ける理想が描かれた『虔十公園林』は、賢治の遺言のようにも感じる。
賢治の人間の在り方の理想、環境問題、障害、仏教の教え……など、この作品を読んだ人は、様々な視点で「賢治とは?」を感じ考え、宮沢賢治の素晴らしさを語ってくれる。
私は、生意気な俳優なので、もう少し暗いところを掘り起こして、作品を立ち上げてみたいと思う。
宮沢賢治は、生き辛かったはずだ。
悩んで、狂って、血を吐いたのだ。
中川佐織
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『虔十公園林』あらすじ
知恵おくれの虔十(けんじゅう)は、村人から馬鹿にされつつも、理解ある家族と共に家の裏の空地に杉苗を700本植える。
それはやがて林になり、いつしか村の大きな財産になっていく。
宮沢賢治が理想とする人間のあり方を主人公虔十に投影して描いたと言われている作品。
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劇団 山の手事情社 公演『池上show劇場【PREMIUM】』
構成・演出=安田雅弘
日程=2021年11月5日(金)~7日(日)
会場=山の手事情社アトリエ
【PREMIUM】公演情報詳細は こちら をご覧ください。
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