稽古場日誌
ワークショップ学生のための演劇サマー&ウィンタースクール 渡辺可奈子 2021/10/07
コロナ禍二度目の夏。
世の中が相変わらずパッとしない中、今年もこの季節がやってきました。
「学生のための演劇サマースクール2021」は大学生・専門学生・高校生と言った学生を対象にした三日間集中のワークショップで、毎年沢山の学生が集まります。コロナ対策として検温と消毒、こまめな換気、近大マスクを着用して行いました。
山の手事情社の俳優が実際に行っている基礎訓練法《山の手メソッド》を用いてワークショップを進行していきます。
集合時間が近づいてくると一人、二人……と受講者達が稽古場に訪れてきます。初めての空間だからか、居心地が悪そうに立っている人、早々にストレッチを始める人、知り合いを見つけて話しかける人、と様々です。
まずは自己紹介から始まり、短い座学をして、簡単なワークをやっていきます。
私は今年初めてワークショップアシスタントを務めるのですが、それでも何となく今回の参加者は大人しい、と言う印象でした。
無理もない。
聞くと「学校に行けていないのでサークル活動はzoomで行っています」「学校の授業はほとんどオンライン、ごくたまに学校に行きます」との事。かれこれ一年半の自粛ムードの中、人と触れ合う機会が極めて減り、すっかり大人しくなってしまったのでしょうか……。
しかし、一見大人しそうな彼らはとても素直に時には食らいつくようにワークを受け、喜怒哀楽のポーズを瞬時に作る《二拍子》で戸惑い、あるルールや設定に基づいて即興的に演技を行う《フリーエチュード》で頭を抱え、基本的な筋肉トレーニングや柔軟を行う《身体訓練》による筋肉痛を訴えながらも日を追うごとに元気になっていくように思えました。
最終日には、日常で起こりうる事を相談して作る寸劇《ショート・ストーリーズ》を三日間の集大成として発表し、無事ワークショップを終えました。
彼らにとって、この三日間がどのようなものだったのかそれぞれある中で、共通して言えるのは、人と会いモノを創る過程で、改めて自分を知る事が出来たのではないでしょうか。演劇は不要不急なモノと言われることもありますが、少なくとも私達や彼らにとっては今一番必要なモノだったように思え、私は少し救われた気がしました。
渡辺可奈子