稽古場日誌
池上show劇場【PREMIUM】 川村 岳 2021/10/19
『刺青』に出てくる登場人物は清吉と若い女の二人のみである。物語は主に清吉目線で進んでいく。
清吉は腕利きの彫物師であるが、彼の夢はいつか絶世の美女に会って自分の絵をその肌に打ち込むことである。その瞬間のために「生きている」って感じだ。
私自身も舞台の上で「この瞬間に立ち会うために演劇を続けていたのでは」と感じることがある。
今まで続けていた作業が実を結び、一気に花開く時だ。人のその瞬間に立ち会ったこともある。でもそんな機会はめったに無いし狙っても難しい。
だからこそ、その貴重な瞬間をカタチに残したいと思う。
しかし公演DVDでは細かいニュアンスを収めるには限界があるし、配信も同じだ。今の演劇の悩みである。
やはり出来れば舞台は生で観て頂きたい。そしてそこで、ガツンと観客の記憶に残るような芝居をしたい。
思えば20歳前後に観て印象に残った舞台の衝撃は、今でも生々しく身体に刻み込まれている。
「ヤバイもの観ちまった」と。
清吉も生きてきた証を残したいのだと思う。
私も他人の記憶の中で生きられたらイイナ、と思う。
川村 岳
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『刺青』あらすじ
腕利きの刺青の彫り師清吉は、自分の魂を彫りこむ女性を探していた。
ある夏の日、駕籠から出ていた真っ白な素足を見て、その女性を直観するが見失う。
翌年の春、馴染みの芸妓の使いで清吉を訪れた娘こそ、その女であった。
清吉は娘を麻酔剤で眠らせ大仕事にとりかかる。
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劇団 山の手事情社 公演『池上show劇場【PREMIUM】』
構成・演出=安田雅弘
日程=2021年11月5日(金)~7日(日)
会場=山の手事情社アトリエ
【PREMIUM】公演情報詳細は こちら をご覧ください。
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