稽古場日誌

ほんのりレモン風味 松永 明子 2022/02/17

革命はレモンの香り?

中学、高校と演劇部でした。
当時の演劇部は人数も少ない弱小文化部。大会に出場するようなこともなく活躍の場が多くはありませんでした。そんな我々が最も力を入れるのは年に一度の文化祭です。よく覚えているのは高校2年生の文化祭のこと。その年の春に、図書館で見つけたとある戯曲に惚れ込み、仲間を説得して、文化祭で上演することになりました。
それまでも、自分たちで書いた作品を上演したり、すでにある作品を舞台化したりと、たくさん創作を楽しんできましたが、その作品に出会った時、「わたし達がやりたかった作品はこれだ!」と運命的なものを感じました。

作品が決まってからは猛烈なスピードで日々が過ぎました。
2時間分の台詞を覚え、今までよりも発声練習にも力が入り、アツすぎる夏休みの練習からあっという間に文化祭直前になりました。

文化祭直前期間はとても忙しいです。学校中が文化祭に向かって動いています。
ポスターはどんなものにする? 劇中にかける音楽は今決まっているものでいいのか? 衣装は? 照明スタッフの数が足りないから仲のいい部外の友達に頼もうか?
休みの日は学校が使えないから公共施設の予約をしよう。
公演を行うためのありとあらゆる事を考え、処理していく。
真夜中まで作業をして、気づいたら寝落ちしていた、なんてこと何度もありました。
文字通り、一所懸命でした。真っ直ぐ、真っ直ぐ、正しく青春していた。

文化祭が終わった日は、近くの商業施設のフードコートでみんなでご飯を食べるのが恒例でした。
演劇部だけでなく、仲のいい文化部の友達、先輩、後輩関係なく、20人近く集まったんじゃないか。
その時間を過ごせたことは、今思うととても幸せだったなと思います。

あれからもう何年も経って、未だ演劇活動をしているわたくし。
そういえばこの間、当時の仲間に「演劇界の革命児になるって言ってたよね?」なんて言われました。
まったく覚えていません。は、恥ずかしい……。

あの頃の自分よ、革命児にはなっていないけれど、元気にやっているよ。
まだまだ頑張るからな。
『ほんのりレモン風味』に挑む後輩たち。
この公演後、演劇を続ける人、演劇から離れる人、いろんな人がいるだろう。
いつか彼らが思い出した時、幸せだったと思い出せるような、そんな公演にして欲しい。

松永明子

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『ほんのりレモン風味』omote

ニュージェネレーション公演『ほんのりレモン風味』
日程:2022年2月23日(水・祝)~27日(日)
会場:大森山王FOREST

詳細は こちら をご覧ください。

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