稽古場日誌

ワークショップ学生のための演劇サマー&ウィンタースクール 越谷 真美 2022/05/03

学生のための演劇ウィンタースクール2022 リポート

2月7日~9日、大学生・専門学校生・高校生を対象にした3日間の集中ワークショップ「学生のための演劇ウィンタースクール」を開催しました。
コロナの感染者数が気になるタイミングと重なり開催が危ぶまれましたが、集まった4人のメンバーと感染対策は気を付けつつ、最終日にある寸劇の発表に向けて濃密な3日間を過ごしました。

初日。俳優は身体が資本! というわけで、さっそく身体訓練や発声練習をたっぷり行いました。その後即興訓練であるエチュード、寸劇作りにも取り組み、頭と身体の両方をフル稼働して初日を終えました。

翌日もまずは基礎訓練をして身体を温めます。
その後、この日は劇団員の川村 岳も講師として加わり様々な即興の《フリーエチュード》に集中的に取り組みました。
《ずっこけ広場》と呼んでいるエチュードがあります。話の隙を縫ってはずっこけまくるというふざけたエチュードなんですが、ずっこけようと思ってずっこけるとわざとらしい動きになってしまいます。自分を一瞬だますようなタイミングで膝カックンするのがミソなのですが、これが意外と難しい。
《フリーエチュード》の後はまたチームに分かれて寸劇作りをしました。4人とも創作の時間を積極的に楽しんでいるのは嬉しい反面、どうしても言葉に頼った説明的なシーンになってしまうのが惜しい。

あっという間に最終日です。
この日はまずは《告白のエチュード》から。喫茶店で待ち合わせたペアの片方がもう片方に告白をして、それに対してオッケーか断りの返事をするシンプルな即興のエチュードです。同じシチュエーションで、同じことをするのに、言い出すタイミング、言い方、それぞれの癖、ふたりの空気感などで四者四様のシーンとなっていきます。

その後は、発表にむけて更に寸劇の創作と修正を繰り返しました。

そのなかのひとつに大喧嘩するカップルの寸劇がありました。喧嘩をして最後はどうでもよくなるというシーンにしたいそうですが、はじめは口ばかりの喧嘩で話がなかなか展開していませんでした。
徐々に盛り上がっていくのでは時間がかかるので最初からマックスの状態をつくりたい。相手に影響しない動きや言葉はなるべく削ぎたい。間を効果的につくりたい。「何を言うか」「何をするか」だけでなく、その言葉をどう発するのか、その動きをどんなニュアンスでやるかが大事。徐々にリアリティのある男女の喧嘩のやり取りがみえてきてドラマチックな瞬間が立ち上がってきました。強い感情を宿しながら見せるべき演技をするって、実はとても技術のいることなのです。

その後の発表では、うまくいったこともいかなかったこともあったと思います。メンバーに感想を聞くと、「何がなんだか整理つかないうちに終わってしまった」「感情を思いきり出すおもしろさを感じた」とのこと。

沢山のトライ&エラーを繰り返しながら仲間と発見を楽しめるのがこの3日間の醍醐味だと思います。

学生の皆さん、またお待ちしています!

越谷真美

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