稽古場日誌

その他 越谷 真美 2022/05/07

早大劇研の新歓公演『轟音トラッシュ』アフタートークに行ってきた!

早稲田大学の大隈講堂の裏手にある劇研アトリエ。
ここは山の手事情社の古巣でもあり、私が学生の頃は生半可には踏み込めない雰囲気が漂っていましたが、この日は可愛らしい女性スタッフが入口に立って会場を案内していました。

特に待ち合わせをしていたわけではないのですが、開場時間前に到着したのでアフタートークに出演する主宰の安田と同時に入ろうと思い、すぐそばでバイクの運転手がお巡りさんと押し問答しているのを眺めながら、入口で待っていました。

しかし待てども待てども姿が見えない。
運転手とお巡りさんも解散してしまった。
別の大学の講義からそのまま来ると聞いていたから遅れているのかな。しかし、流石にソワソワしてスタッフの方に聞いてみたら、

劇研スタッフ「開場時間前にいらしてて、もう中に入られてます!」

え!!  開場前に!?
私の見込みが甘かった。慌てて会場内へ。

向かいながら、

劇研スタッフ「アフタートークは、越谷さんも舞台にあがっていただいても何していただいてもオッケーですので……」

予定にないカオスを期待するのは劇研の伝統なのでしょうか。

初めて踏み込んだ劇研アトリエは天井が高く、客席もしっかり段差があって見やすい立派な小劇場空間。
いい感じ。ひと昔前はビル3階分くらいの高さがあるテントを学生たちで設置して公演していたそうです。

芝居が始まると、前のめりで芝居を観る安田氏。
観るいうより観察。演劇オジサンの本領をみる。

河原の線路下を再現した舞台美術、かなり頑張っているなあ。制作や衣装や照明もすべて自分たちで制作、運営している。

作品は日常的等身大な世界観のなかで、現代の閉塞感を描きつつ、現実と妄想が入り混じって、俳優さんたちは身体を張って熱演してました。きっとまだ何を表現したいか、どう表現したいのか色々と探っている最中なんだろうな。
とても学生らしいといえば学生らしい、お芝居でした。

さて、終演して、10分ほど休憩したのちに作・演出の田中優笑さんと安田のアフタートーク。

いまさら、安田がジャージ姿なことに気付きました……会場の雰囲気に馴染みすぎています。
まさか稽古のデモンストレーションでも始めるのではないか、一瞬不安と期待が入り混じりましたが、安田は終始雄弁で、これから活動を続けていくうえでのアドバイスや、本番よりも打上げのほうが怖かった劇研時代のエピソードなど話しました。

一度も私は舞台上にあがることなく、アフタートークは15分ほどで終了。

SNSやコロナの時代になって、演劇の魅力、劇団であることの魅力はかなり問われているなと感じる今日この頃ですが、劇研の皆さんも試行錯誤しながら活動しているんだな。
劇団内でもやっている稽古メニューがちょっと違う形で行われているのもわかって、同じ系譜の後輩たちに親近感が湧きました。

 

帰り道、

安田「芝居より、俺の話のほうが笑いを取っていた」

若い奴らにまだまだ負ける気はないようです。呼ばれればまたいつでもジャージ姿で後輩たちに喝を入れにいくことでしょう。

劇研の皆さん、これからも頑張ってください!

越谷真美

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