稽古場日誌
劇団員となって約半年経ちました。
毎回の稽古ごとに先輩方から刺激をもらい、稽古に参加出来てることに感謝しつつ、何か盗めるものがないかと目を光らせております。
そして、今回嬉しいことに
『こくごのじかん』の『走れメロス』に出演することとなりました!
私は、小学校の国語や音楽の授業で『走れメロス』に出会いました。
友情、努力、王様への勝利!!
少年ジャンプに出てきそうなかっこいい作品です。
しかし私が好きなのは、メロスのかっこ悪いところ。
正義感の強い青年の心がポキリと折れて走れなくなり、1ページに渡りぐだぐだ言い訳をするところです。
このシーンのメロスが最も身近に感じるのです。
私もすぐ心が折れてしまいます。
高校の部活……。大学受験……。
一番心が折れたのは、地元の合唱団を辞める時でした。
小学生から高校生まで所属していた合唱団。
ある日、パート替えが行われました。人数の少ないパートを救わなければという正義感で志願して、今までのパートよりも低い声のパートに移りました。
結果は、挫折しました。
元々声質は高いほうなので低い声は出ないし、音程を取るのが難しいし……。
本にしたら2ページ分くらいになるんじゃないかという長い言い訳を自分にして、退団してしまいました。
メロスのぐだぐだした言い訳と同じ。
頑張ったんだよ。でももう無理なんだ!!
諦めて、言い訳をして、友との約束を破ろうとするメロス、共感できます。
けれど、メロスは走り出す。
私はメロスのように再び走り出せませんでした。この作品を読むと、諦めない未来もあったかもと思えてきます。
それに自分が諦めて後悔したからこそ、メロスが諦めないでいてくれてよかったと思うのです。
きっと作者の太宰治も、「諦めないで成功することがあってもいいんじゃないか」と思ってこの作品を書いたのではないでしょうか。
ですから、観てくださった方に「諦めないで頑張ってみよう」そう感じてもらえる瞬間が一瞬でもある作品になるといいなと思ってます。
そう感じていただけるように頑張ります!
劇団員になって初の舞台で緊張していますが、全力で稽古に挑んでいきたいと思います。
メロスのように、たまに諦めそうになりながらも、自身を叱りつけ本番まで走り続けていきます。
劇場でお待ちしております。
有村友花
**********
『走れメロス』あらすじ
純朴な村の青年メロスは、王の暴虐な政治を知り激怒、王城に単独突入し囚えられる。
すぐさま王から処刑を言い渡されるが、妹の結婚式を執り行うことを思い出した。
式のため、処刑までに3日間の猶予を懇願し、友人のセリヌンティウスの命を担保する。
村へと走り出したメロス。果たして、間に合うのか。
**********
『こくごのじかん』
日程:2022年8月19日(金)~20日(土)
会場:大田区民プラザ 大ホール
詳細は こちら をご覧ください。