稽古場日誌

デカメロン・デッラ・コロナ 安田 雅弘 2023/03/16

『デカメロン・デッラ・コロナ』 間もなく。

ようやくマスクを自己判断ではずしてもよい、
という雰囲気にはなってはきましたが――

昨年6月にルーマニアのシビウ国際演劇祭を視察してきました。
だぁれもマスクをしておりませんでした。
してるとかえって奇異の目でみられる感じです。
劇場は三密なのに、です。
特に本番前のロビーはごったがえしているのに、ノーマスク。
みんな至近距離でペチャクチャ飛沫を飛ばし合ってる。
大丈夫? と尋ねたら、コロナ? 風邪だろ? とのこと。
ウクライナは隣の国なのに、NATOに入っているせいか、全く気にかけている様子はありませんでした。
日本は花粉もあって、まだまだマスクはずせそうにないですね。

さて、新作公演、

『デカメロン・デッラ・コロナ』

です。

4年ぶりの劇団総がかりの本公演です。
この4年間、演劇活動は続けてきましたが、一人芝居だとか、
少人数芝居が多く、久方ぶりに20名近く出演する舞台です。

もともと『デカメロン』はペストの流行拡大から避難した貴族10人の話ですが、
現代で、コロナから避難する人たちが出たらどうなるだろうか、
というのが今回の発想の出発点でした。

コロナで在宅時間が多くなり、YouTubeで本当だか嘘だかわからない、
さまざまな情報に触れる機会が増えました。
うすうすは感づいていたものの、テレビや新聞などのマスコミの情報が随分いい加減だなと考えるようになりました。正直言うと、ひどいなと。
こんなものを長く信じていたのかと。

そうこうするうちにロシアのウクライナ侵攻。
それまでもあった中国の尖閣諸島周辺でのふるまい。台湾有事の可能性。
北朝鮮のミサイル実験。安倍元首相の暗殺。値上げラッシュ。
トルコの大地震……。
何かはわかりませんが、
不気味なものが私たちに迫ってきているような不安感を抱いています。

お芝居ですが、人々がコロナなのか、ウクライナのような有事なのか、トルコ地震のような災害なのか、
ともかく避難している場所が舞台です。かつて山荘だった廃墟です。
その避難所の催しとして、人類の文明についての鼎談が開かれています。
その鼎談の中に、鼎談の内容とは関係なく、『デカメロン』の物語の一節や、
ダンスや、得体の知れない言葉をつぶやく人々などのシーンなどが挿入されます。
チラシにも書きましたが、シャガールの絵から着想しました。
今の暮しが、現実なのか夢なのかわからない生活という私の実感です。
もっと言うと、私たちが生きているのは悪夢なのか白日夢なのか、という気分です。

その辺の感覚をぜひお客さまと、舞台と客席の間で対話してみたいです。
ぜひお運びください。

会場は、当劇団稽古場の近く、東急池上線「池上駅」下車、池上会館です。
日蓮宗の大本山、本門寺のお足元になります。
おそらく桜が満開になっていると思います。
いや、もう散ってるか?

安田雅弘

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劇団 山の手事情社 公演『デカメロン・デッラ・コロナ』
日程=2023年3月24日(金)~26日(日)
会場=池上会館 集会室

チケット発売中!!
公演情報は こちら

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