稽古場日誌

ワークショップ 高島 領也 2023/09/17

「一日体験入団」リポート ~身体で発想するワークショップ~

「プロの俳優に必要な能力とはなんだろう」

「一日体験入団」はこの問いかけから始まります。
俳優は心や魂を取り扱う仕事ですが、そもそもあいまいな「心」や「魂」の説明が難しいのに、具体的に説明できる俳優の能力とは有るのでしょうか。
《山の手メソッド》では、「身体」、「声」、「感情」、「発想力」、「観察力」、「知識」を俳優に必要な能力の六本柱として掲げています。
「一日体験入団」では、これらについて考えていきます。考えると言っても頭で考えるのではありません。身体で考えることをします。

日によって参加者の年齢層も大きく変わりますが、私がインストラクターを担当したこの日は、若く演技力アップを狙いとした方が多かったので、山の手事情社の俳優がどんな事を大切にしているかを丁寧にお伝えしました。

例えば、《感情滑舌》という稽古があります。
いわゆる早口言葉を読みながら、強い感情を出す稽古です。
初めての方でも、ある程度は感情を表現できます。しかし、それ以上には進めず日常のレベルで停滞してしまいます。こちらが「もっともっと」と煽っても中々思う様にはいきません。

そこで、ある参加者にウレタン製の柔らかいマットを壁に打ちつけたり、床に叩きつけたりしながら怒って暴れてみてくださいと提案しました。半信半疑でウレタンマットを受け取り、言われた通りにやってみると、声は格段に大きくなり、感情も目を覚ましたように、怒りを溜めたり、発散したり、怒りの対象が変化したりと展開していきました。
まず身体がそれまでの状態から変わり、身体と声と感情が密接に繋がった状態になる事で、それに伴った声と感情が現れてきました。ご本人も自分の中にこんなに怒って暴れる衝動がある事に驚いていたようでした。

その日の参加者の方から「これまで自分でしっくり来なかった演技が、身体で発想する事で楽しむ事ができそう」と感想をいただけて、嬉しかったです。

しかしこれは、あくまで一つのきっかけの発見に過ぎません。《山の手メソッド》には身体から飛び込んでいく稽古メニューが数多くあります。
まずは「一日体験入団」で、まだ見たことのない自分に出会ってみませんか。

高島領也

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《山の手メソッド》の詳しいメニューの一部は こちら で具体的に紹介されています。

「一日体験入団」の開催情報は こちら をご覧ください。

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