稽古場日誌
ご無沙汰しております。名越未央です。
今年の夏は、近しい方々に残暑見舞いのお便りを出してみました。
7月初めに暑中見舞いをつくるぞと思い立ち、さっそくはがき製作アプリをダウンロード。しかしちょっと、使いづらい……
気を取り直して写真を選びます。
「元気にしてますか? 私は元気です!」てな感じの、いい空気感、いい躍動感、いいサイズ感の写真が、みつからない……
そうこうしているうちに毎日がわたわたとせわしなく、7月、8月、まさしく矢のように、光のごとく過ぎ去っていきました。
気づけばセプテンバー、もうあきらめようか……
いやでも!
今年は絶対にお便りを出すんだ!
なぜだかかたくなにこだわる自分。
調べてみると、残暑見舞いは8月中に届くのが望ましいけれど、9月7日までなら季節外れにはならないようです。しかも今年はまだまだ暑かったので体感的にもいける、気がする!
結果的には2か月近く熟成させたことによって、アプリをかなり使いこなせるようになり、夏を過ごす間にいい写真もたまって、我ながら素敵な残暑見舞いができあがったと自負しております。
あーよかった。
私の夏が無事終わる。
そして先日。
ポストに、何やらパンパンに膨らんだA4サイズの封筒が届きました。(郵便屋さん、ポストに押し込むの大変だったでしょう……)
見ると、差出人は残暑見舞いを出した古い友人。もう10年以上も昔、私が京都で活動していた頃に一度だけ共演した俳優仲間です。長い間連絡もとってない、今はもう何をしているやらよくわからないアイツ。
封筒は、手に取るとふにゃりと曲がり、じゃらじゃらコロコロと音がする。
ナンダコレハ⁉ おそるおそる開けてみると……
コーヒー豆のい~い香りが匂いたってきました。
最近コーヒー屋さんで働き出したから送ります、とのこと。
あー。よかった。
パンパンの封筒が、私の元にじんわりと秋を運んできてくれたような気がしました。
皆様もどうか健やかに、爽やかな秋をお迎えください。
名越未央