稽古場日誌
馬込文士村演劇祭/馬込文士村 空想演劇祭 斉木 和洋 2023/12/01
『片腕』は川端康成が晩年に書いた短編小説で、日本的な感性の風景のなかで展開するシュールレアリスムかつ幻想的な作品です。それは、ある男がひとりの若い娘から片腕を借りて、アパートに帰り一晩を過ごす物語。
「映像作品だが、舞台でも上演できることを想定し制作して欲しい」というアートディレクターの安田の意向を受け、カットで割らずに通しでも上演できるよう作りました。
撮影の舞台は池上にある本妙院の本堂です。舞台セットとして本堂の仏間に、真っ白に塗ったミニチュアサイズの四畳半の畳を敷いて、俳優はそのエリアを中心に演技をします。演技エリアを限定した空間に凝縮し、身体所作を駆使して場面を演じます。私たち劇団 山の手事情社の俳優部が、これまでの公演や日々の稽古の中で培ってきた《ルパム》、《歩行》、《四畳半》などの要素を作品の中にぶち込んで作りました。
主人公の男の前に、片腕の女たちが魔界からやってくる。男は女たちに嬲られながら幻を見る。ゆめ(夢)とうつつ(現)のあわい(間)に姿を現す片腕の女たちの幻想が、本妙院の静謐な夜の時間に生まれます。そして、川端康成が書いた妖しく淫らな言葉と、俳優の声と体が絡み合って、スクリーンの中で狂おしく踊ります。
撮影は2日間。タイトなスケジュールでしたがみなさまのお力添えのおかげで無事終了しました。ありがとうございました。
ボーナストラックとして、演出の斉木も出演しています。さて、そのカットは生かされるのでしょうか。本編の上演を楽しみに待ちたいと思います。
乞うご期待!!
斉木和洋
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馬込文士村 空想演劇祭2023 作品上映&演劇公演+[同時収録]生ライブ
日時=2023年12月9日(土)・10日(日)
会場=大田文化の森 ホール
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