稽古場日誌
僕らはみんな逃げている 鹿沼 玲奈 2024/01/28
《山の手メソッド》には様々な訓練があり、その稽古ごとに俳優の魅力が引き出されていく。１年間かけて集められた魅力という名の素材を構成し、１本の作品にする作業が、今日始まった。
「ここで止まって」「足取りはもっと速くして」「声が小さい」
開始早々、どんどん演出家から指示が出る。
その時俳優に必要なのは、演出家のイメージを正確に受け取る能力だ。そしてどれだけ指示に敏感に反応できるかは、これまでの基礎稽古でつちかった「体力」勝負になってくる。何に体力を使うかというともっぱら、テンションを高い位置でキープし続けることに、だ。
テンションとは、面白いものを作るぞという覇気である。覇気はいずれ自信に変化していくが、公演の１ヶ月以上前なんて、誰もそんなもの持ち合わせていない。これからの１ヶ月間は、自分は面白いものを作っているぞ、という自信を手に入れるまでの闘いでもあるのだと思う。
そのうえで演出家の言葉を先読みしない冷静さも必要で、ひとりで早合点せず、まずは素直に最後まで指示を聞くことも大切。それにも地味ではあるが、相当の体力が必要と思う。
今日の段階では、演出家の指示を正確にとらえられているメンバーはまだまだ少ないように思った。なんでその指示が出ているのか、しっかりと全身をつかって考えてほしい。きちんとその場で体力を消費して、いっぱいご飯を食べて、いっぱい寝て、また稽古に励んでほしい。
一方、演出家の覇気を正面から浴びまくって、ビビっているようにも思えた。そういうときこそ、ハイテンション、大事だよ。演出家に負けてはいけません。がんばれ！
今後、他の劇団員が同じように稽古場の様子のリポートを書くことになっているのだが、お客様には彼らの変化をリアルタイムで楽しんでいただければと思う。
ぜひ応援よろしくお願いいたします。
鹿沼玲奈
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ニュージェネレーション公演『僕らはみんな逃げている』
構成・演出＝谷 洋介
日程＝2024年2月28日（水）～3月3日（日）
会場＝山の手事情社アトリエ
詳細は こちら をご覧ください。