稽古場日誌

僕らはみんな逃げている 浦 弘毅 2024/02/20

毎日が逃げ

私の人生は毎日が逃げである。人によって色々な逃げ方があると思うのだが私の人生では下記のようなものだ。
・幼稚園の時、とてもわんぱくで柵を乗り越えて園から逃げ出していた。
・小学校の時、授業が嫌で友達と江戸川に遊びに逃亡し、親と先生にめちゃくちゃ怒られた。
・高校生の時、プロ野球選手を夢見ていたがあまりの厳しさに挫折して野球部を辞めた。
・予備校に行っていたが、勉強が嫌いで予備校を抜け出し千葉の外房の海で魚釣りをしていた。
・20歳になってサラリーマンになりたくなくて、銀座の街をフラフラして現実から逃げていた。
・劇団に研修生として入って、地方公演がかなり辛くて同期3人と車で逃げた。
・劇団員になってからは芝居に没頭することで世間から逃げていた。(のかもしれない)

半分笑い話ですが、こういう私がいうのもなんだが、逃げることは決して悪いことではない。後付けでもいい。その場から離れたことに理由がつけられれば、それは逃げではなく、むしろ前進なのではないかと思う。なんとなく離れられないようなことのほうが、もしかしたら逃げていることになっているのかもしれない。

逃げるという漢字には「兆」(きざし、予兆や兆候)という字があります。
「逃げる」(にげる)と「挑む」(いどむ)は辺によって全く反対の意味になります。
要はこの予兆を感じ取れる人が、足を使って逃げるのか、手を使って掴むのかの差なだけで、どちらも予兆を感じ取れるという点においては機微を感じ取ることのできる能力のある人なのだと思っています。

だから、どんどん逃げればいい!!!!
逃げる理由を付けられれば。でも理由にはセンスが必要です。

ニュージェネレーションの皆さんは芝居づくりの中で、たくさんの理由を持って稽古にあたっていると思います。今の彼らは『僕らはみんな逃げている』ではなく、『僕らはみんな走っている』なのです!!

浦 弘毅

**********

『僕らはみんな逃げている』omote 『僕らはみんな逃げている』ura 

ニュージェネレーション公演『僕らはみんな逃げている』
構成・演出=谷 洋介

日程=2024年2月28日(水)~3月3日(日)
会場=山の手事情社アトリエ

詳細は こちら をご覧ください。

稽古場日誌一覧へ