稽古場日誌

夏の夜の夢 中川 佐織 2024/06/18

鍵山大和(かぎやまやまと)~出演者紹介その8~

「僕、変なこと言ってます?」
はい、言ってますよ、あなた。

鍵山大和くんというのは、こういうひとです。
日常の会話でも、芝居の創作時でも、独り言でも、どんな時でも彼の中の「今だ!」スイッチが押されると、急に言葉を紡ぎ出すマイペースさ。
それに耳を傾けると前後の関係がみえず、「なんの話をしているんだ?」となんとも言い難い空気を味わわせてくれる、妄想力。
私「え、急にどうしたの?」
彼「え、僕変なこと言ってます?」
こんなやり取りは、日常茶飯事なので、鍵山くんはご家族に愛されて育ったんだなぁと、勝手に思っています。

「あ、ヤッベ……」
というのが口癖なのも、鍵山大和くんです。
彼はとても迂闊です。空気が読めないわけではないのですが、先程のマイペースさと妄想力に自分自身の舵を取り損ねて、うっかり何かをやらかしたり、巻き込まれたりします。
子供の頃に、知らない人に自分からついて行ったことがあるんじゃないかなぁ、と勝手に思っています。
そしてその迂闊さが、時に、うっかり人を怒らせてしまう。
でも、「あ、ヤッベ……」が声にならずに顔に出てしまうので、どうにもこうにも可愛がられるタイプの様です。
ただ、迂闊なことを「あ、ヤッベ……」と思わず、堂々と出しゃばるときがたまにあり、逆に「お前すげぇな!」と思う瞬間があります。
抽象的な話ばかりで、すいません。
でも、たぶん、鍵山くんはその瞬間の気持ちよさをいつも探していて、うっかりしてしまうんだろうなぁ、と思っています。

さて、舞台上での鍵山くんは、没入タイプの俳優です。
稽古では与えられた役に素直に四苦八苦しながら、「今のどうでしたか?」と周りの先輩や演出家に食らいついています。
そうやって聞きに来る純朴さと、実は話にピンときてないのが透け透けで、おちょくってんのか? と思わせる天然で生意気なところもあり、つまり、役者としては良いんじゃないでしょうか。
その生意気なところがクスリときますから、もっとヒヤリとする本音を舞台上で観たいですね。
『夏の夜の夢』で暴露しまくって、誰よりも好かれてこーい!

と書くと、「僕、好かれてましたか?」と言ってくるのが、鍵山大和くんです。

中川佐織

※ 写真:『デカメロン・デッラ・コロナ』(2023年)

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若手公演『夏の夜の夢』
日程=2024年7月27日(土)~8月4日(日)
会場=山の手事情社アトリエ

ご予約受付中!
詳細は こちら をご覧ください。

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