稽古場日誌

夏の夜の夢 喜多 京香 2024/07/09

あぁ、嫉妬されている

私は、よく嫉妬される。
幼い頃からそうだ。
嫉妬されていることがうすうすわかるって、辛い。
気がついたら、なんか相手がプンプンしているのだ。
私は何もしていないのに、友情にヒビが入る。

小学生のとき、こんなことがあった。
わたしはいつも、女子数名のグループで行動していた。
朝学校に着いたらまず集まっておしゃべり、お昼休みも一緒、放課後も一緒、休みの日も一緒。
少し窮屈に感じる時もあったが、安定の居場所だと思えば、孤独よりはマシだった。
そんなある日、グループの中の1人がある男子を好きだと言い出した。
とても盛り上がったが、問題があった。
その子の好きな男子は、わたしの隣の席の子だというのだ。
しかもわたしはその男子と結構仲良くしてしまっていた。
さらに数日がたち、その男子がわたしのことを好きだということが発覚した時、グループの女子たちのわたしを見る目は一気に白い目に変わった。

『夏の夜の夢』の劇中、色恋で嫉妬してくるヘレナに対しハーミアが、「私のせいではないのよ」と言うシーンがある。
まさにそんな気持ちだった。そして理不尽に睨みつけてくる友人の目ほど、恐ろしいものはない。
しかし、問題はここからなのだ。
嫉妬されたとわかり恐怖する自分の中で、よくないものがわずかにうごめく。

「ヤッター」

これだけ可愛い女子たちを差し置いて、私のことが好きなんだ。
嫌な女で片付けるにはもったいなさすぎるこの正直な気持ち。
ハーミアにも聞いてみたい。
好きな人とも上手くいっている上に、好きでない相手からも追われるって、どんな気持ちですか?
ぶっちゃけ、気持ちいいですか?
心の中でガッツポーズ、してますよね!

大人になった今も、嫉妬されることはよくある。
その度に私は感じるのだ。
口が裂けても言えない、小さな「ヤッター」を。

喜多京香

※ 舞台写真:『デカメロン・デッラ・コロナ』(2023年) 

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若手公演『夏の夜の夢』
日程=2024年7月27日(土)~8月4日(日)
会場=山の手事情社アトリエ

詳細は こちら をご覧ください。

『夏の夜の夢』2024omote 夏夢チラシ 裏【完成A4】追加公演入り

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