稽古場日誌

この度、馬込文士村演劇祭2024で上演する『ガリバー旅行記』(原作:ジョナサン・スウィフト、翻訳:吉田甲子太郎)の演出を担当することになりました。
今回は全四編の内、第一編の「リリパット国渡航記」を上演します。

『ガリバー旅行記』ってどんなイメージがありますか?

私は平和な児童書のイメージがありました。

好奇心旺盛なガリバーが小びとの国を訪れ、磔にされながらも小びとの信頼を得て人気者になる、的なところでしょうか。

ただ実は原作が出版された1726年当時のイギリス社会を批判した風刺小説でもあったのです。
ガリバーは異文化と触れ合うのですが、そこでの慣習や道徳が意図的に極端に表現されています。
小びとの描写も差別的な表現があると思います。
ガリバーも無垢に描かれていますが、小びとにとっては危険な存在であり、知らず知らず戦争や政治に利用されてしまいます。

面白いと思っていたことが誰かを傷つけていた、良かれと思ってしたことが的外れだった経験が誰しもあると思います。
世界は一辺倒ではない、複雑で多層だということを皮肉を込めて描いているように感じています。

今回、「親子で楽しめる演劇」を目指していますが、ちょっとピリリと効いたスパイスを加えたいと考えています。
どうぞご期待ください。

川村 岳

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OTA アート・プロジェクト
馬込文士村演劇祭2024
~ものがたりの世界を楽しもう~
演劇上演『ガリバー旅行記』『ヘンゼルとグレーテル』
日時=2024年10月5日(土)・6日(日)
会場=山王ヒルズホール

詳細は こちら をご覧ください。

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