稽古場日誌

子供の時に迷子になり、怖くて怖くて大泣きしながら歩いていました。
一軒の駄菓子屋の前に着いた時に、駄菓子屋のおばあさんが私に気づき、
お菓子までくれて私はすっかりご機嫌。
その後警察に連絡してくれ、るんるんでパトカーに乗り無事に家につくことができました。

平和な結末です。
でも、パトカーの窓から見た自分の家や、驚く両親の顔が全く違って見え、本当に私の家なの?
本当にお父さん? お母さん? 日常がちょっと変わってしまいました。

日常と物語の世界、そう遠くないんじゃないかな。
ちょっと見方が変われば、面白い物語も怖い物語もいつもすぐ隣にあるなと思います。
もし、あの駄菓子屋のおばあさんがよからぬ事を考えたら、私はヘンゼルとグレーテルのような目にあっていたかもしれませんね。

そんなことも思いながら、稽古も佳境にはいり、いよいよ今週末「馬込文士村演劇祭2024」の本番です。
今までこの企画(馬込文士村)では大人向けの近代文学を扱ってきましたが、今回はテイストが変わって名作児童文学として知られる『ヘンゼルとグレーテル』と『ガリバー旅行記』の2作品を上演します。
私は『ヘンゼルとグレーテル』で魔女をやることになり、あの迷子になった日の記憶や駄菓子屋のおばあさんのことを思い出してしまいました。

児童文学作品に関わることは久しぶりなのでとても新鮮な気持ちで作品と向きあっていますが、いざ演じるとなるとやはり手強い!
文章の力がとても強いので、そのまま演じるとただお話を説明しているだけになってしまいます。
文章以上の世界を見せるためにはどんな表現がよいのか、あの有名なシーンをどうするのか、試行錯誤しながらの日々。

山の手事情社ならではの視点の作品ができてきたと思います。
2作品それぞれ全く違う世界観を味わっていただけると思います!

劇場でお会いできますことを劇団員一同楽しみにしています!

山口笑美

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OTA アート・プロジェクト
馬込文士村演劇祭2024
~ものがたりの世界を楽しもう~
演劇上演『ガリバー旅行記』『ヘンゼルとグレーテル』
日時=2024年10月5日(土)・6日(日)
会場=山王ヒルズホール

詳細は こちら をご覧ください。

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