稽古場日誌
私が小学4年生の頃の話です。当時の私は男女関係なく誰とでも仲良くできる性格の子供でした。それは私にとって自然なことでしたが、どうやら周囲では性差というものが意識され始める時期だったようです。ある日の「学活」と呼ばれる授業時間で、「男子と女子が普通に遊んだり喋ったりしてるのって変じゃない?」という提起があったのを覚えています。当時の私は全く理解できず、「何が変なのだろう?」と疑問を抱いていましたが、よく話していた女友達が「確かに変かも」と言うのを聞いて、「そんなものなのかなぁ」と腑に落ちないまま受け入れた記憶があります。そういえば、同じ頃体育のプールの授業で水着に着替えるときも、男子と女子で着替え場所が分けられるようになっていたな、と今思い返します。
当時の私は男女の性差について全く無頓着だったのですが、ある「裏切り」によって「女子って怖ぇな……」と思うようになりました。それは小学生の会話でよくある、好きな人についての話でした。「絶対誰にも言わないから好きな人を教えて」という女子たちの言葉を信じ、当時好きだった女の子の名前を明かしました。ところが翌日の休み時間に、クラス全員の前でそのことをバラされてしまったのです。私としては本当に驚愕で、「誰にも言わないからと言ったのに何で?」と恐しくなりました。その時は咄嗟の防衛本能で、皆に「え、本当?」と聞かれても「いや、全然違うけど……」と、すっとぼけて切り抜けたのですが、バラした女子たちに後から「あの時〇〇が好きって言ったじゃん! 嘘ついたの?」と詰め寄られ、それ以来、本当に女子という存在が信じられなくなりました。その日を境に、大事な事ほど女子には絶対に言わないようにしようと心に決めたのです。
その出来事から、私の中で「男子は信じられて楽しめる仲間」「女子は信じられず距離を保って付き合う仲間」と、意識が変わっていきました。
今回の『マクベス』は全キャストが女性という特徴的な座組であり、男女混合の配役バージョンと比べて異質な公演になると思います。私にとっては苦い思い出ではありますが、女子の集団というのは、ある種の無敵感を持っていると思います。それがどの様に今回の『マクベス』に活かされるのか、ぜひ劇場でお楽しみいただきたいと思います。
河合達也
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劇団 山の手事情社 二本立て公演
『オセロー』『マクベス』
日時=2025年2月21日(金)~25日(火)
会場=シアター風姿花伝
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