稽古場日誌

今回のニュージェネレーションも個性豊かな面々が集まった。
僕が皆から受けた印象を少し語り、彼ら彼女らへエールを送りたいと思う。
まずは座組最年少、狩野真謙(かのうしんけん)。
とても真面目に話を聞き、自分の意見も忖度なく話す、素直で大人しい印象を受ける男。人混みで酔って動けなくなるなど、ナイーブな面もあるが、予想外に強いエネルギーで表現をする事や、中々攻めた意見を言う事もあり、興味深い人だなぁと感じる。
子犬の様な可愛らしさの中に相反する狂犬を飼っている。そんなギャップが魅力的で、彼のこれからが個人的にはとても楽しみである。
次は優しいお姉さんのような雰囲気を放つ、野崎梨香子(のざきりかこ)。
芝居やスタッフワーク等に真摯に向き合い、しっかりとこなしていく。ダンスもやっていて、身体の使い方は座組で1番上手い。芝居心も感じる。
他のメンバーと比べて自分は普通と語る彼女だが、いやいや、普通だとすれば山の手事情社は選ばない。きっと心の中にも目覚めの時をよだれを垂らして待っている魔物がいるはずだ。少なくとも僕はそれを感じているよ。
人に見せられないかもと自分で思っている一面が、演劇では武器になったりする。粘り強く自分を掘り下げ、時には周りを気にせず、恐れずに自分を解放させてみて欲しい。
続いて、木島史人(きじまふみと)。
何事にも真面目に、懸命に取り組もうとしているが、発言や行動が空回る事がしばしばある。彼自身も自覚はあり、稽古で何度転んでも諦めずに足掻いている。本人としては苦しい所かも知れないが、僕は彼の面白さはそこに眠っている気がしている。
例えばこういう場面があった。
劇団の申し送りの時間で皆が体育座り等で話を聞いている中、彼だけがちょっとクール目なポーズで座っていた。彼に悪意はない、しっかりと考えながら話を聞いていた。
V系のアーティスト写真かよ! と僕は心の中で突っ込んでしまう。やはり愛しくなる一面があるなぁとしみじみ思う。
じっくりと自分を分析して、稽古で自信を持って活用してみて欲しい。愛されるキャラクターが出てくるはず。
そして最後は熊木真智子(くまきまちこ)。
最年長かつ人生の大先輩で、恐らくかなりの勇気を持ってニュージェネレーションの扉を叩いてくれた人である。稽古でもダメ出しやアドバイスに素直に対応していたり、劇団の稽古見学もまめに来ていて、とても素敵だと感じた。見るたびに表現する事への思い切りが良くなっている印象があって、本気で演劇が好きなんだなと強く感じる。
とても独特な空気をまとっていて、表現に活かす事が出来たならかなり印象に残ると思う。良い意味で何をしてくれるか分からない魅力がある。
舞台上での動向が気になる人だなぁ、と僕は今からワクワクしている。
一人一人に個性的で魅力的な一面があり、今回の公演は絶対に面白くなるだろう。しかしまだまだウブで大人しい感じがある。どんどん調子に乗って欲しい。今までやってきた基礎稽古は、調子に乗った皆をより魅力的にする為にあったはず。自分たちのやってきた事に誇りと自信を持って表現すれば、唯一無二の凄まじい公演になるはずだ。
今回のニュージェネレーション公演のタイトルにはネット用語の「うP」や、今の自分よりアップしたいなど、様々な意味が込められている。本番当日、劇場に皆の勇姿が「うプ!」されるのがとても楽しみである。
宮﨑圭祐
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劇団 山の手事情社 ニュージェネレーション公演『うプ!』
日程=2026年4月8日(水)~12日(日)
会場=大森山王FOREST
詳細は こちら をご覧ください。