稽古場日誌

ダイバー研修生 研修生 2015/02/18

マラソンしながら絵を描く/梅津一博

~ながら○○。
山の手事情社の研修生になって、よく聞くキーワード。

二つの事を同時に行なうのって間違いなく簡単な事ではない。
それを役者は、二つどころか三つ、それ以上の行為を同時に行なおうとする。

自分の中に存在する要素、質の違う要素、輪郭もないような要素を一つの集合体にして放出する為には、一つの行為だけやっていても絶対に不可能だし、結果は目に見えている。

自分の中のテンションを高いところで保ちながら、その場の大気が停滞しないよう展開を読み、行動を起こす。
もちろんその瞬間で自分が一番活きるであろう魅せ方も考えながら。
その為に、演じている自分の目線とはまた別の冷静な目線が俯瞰していなければならない。これが、難しい。

マラソンしながら絵を描く。想像するだけで難しい。
でもこのぐらい朝飯前の境地に達したなら、いつの日か眠りながらにして何かをできるようになっているかもしれない。

役者って、人間としてどこに向かっているんだろう。

さて歯磨きしながらこの文章を考えてる自分。
すでに歯を磨く右手は止まってる。まだまだ地球の裏側だなと思う今日この頃です。

梅津一博

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