稽古場日誌

ダイバー研修生 研修生 2015/03/01

知る人ぞ知る/小貫泰明

「ヴォイツェク」は、前回サッカーワールドカップで優勝したドイツの作家ゲオルグ・ビュヒナーの作品です。
粗筋は、周囲からことごとく蔑まれ、搾り取られ、経済的、精神的に追い詰められた一兵卒が唯一の拠り所であった内縁の妻を刺し殺す、というものです。

我らの修了公演『ダイバー』は、
縦軸は「ヴォイツェク」の話で、横軸は《山の手メソッド》のてんこ盛り。
《ルパム》《漫才》《インジアンジョー》《ものまね》《ショート・ストリーズ》《歩行》《弁論大会》などなど。

基本的な構造は本公演でも若手公演でも同じです。

本公演は素晴らしい、若手公演は面白い。
では研修生公演ではどのようなことが魅力なのか、どんなところで勝負できるのか。

技術、経験、精度では遥かに及ばない。
それでもなんでも、「初めて」には素晴らしいし面白いし魅力がある。

アメリカの大統領でも月への到着でもAV女優でも未踏の山でも初恋でも、それは拙くぎこちなくうまくいかないものでも一生涯忘れられない瑞々しい甘美さを持ち続けているわけなのです。

サッカー日本代表ではないけれど、どんな世代であれ山の手事情社の「ユニフォーム」を付けて行う公演なので誇りを持ち、責任を自覚し、やりたい放題、支離滅裂に暴れられたらいいなと思います。

小貫泰明

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《ルパム》《漫才》《インジアンジョー》《ものまね》《ショート・ストリーズ》《歩行》《弁論大会》など、《山の手メソッド》について、詳しくはこちらをご覧ください。

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