稽古場日誌

ダイバー 名越 未央 2015/03/02

情熱のダイバーたち

先日、劇団員全員でミーティングをしていた時のことである。
別の部屋で稽古をしていたはずの研修生が、突然ザッザッザッザッと硬い表情で飛び込んできた。瞬間、会議室は異様な緊張感に包まれる。

口火を切ったのは、歴代研修生最年長記録を更新した小貫泰明(50)。
「劇団員の皆さん、テンペストお疲れ様でした! 私たちはいま、修了公演に向け毎日稽古に励んでいます」
続いて、卒業式のよびかけよろしく、一人一言ずつ大きな声で喋っていく。
「稽古場を優先的に使わせていただきありがとうございます」「差し入れをありがとうございます」「現在稽古は、(おっとネタバレになるので割愛!)・・・すごいことになっております」「それではここで皆さんにお願いが・・・(内部事情は割愛!)」「最後に修了公演への意気込みを1人ずつ述べさせていただきます」(長い! 割愛!)

そう、これが山の手事情社伝統の、研修生の決意表明である。

・・・嘘です。

会議に乱入&よびかけ、などという伝統はない!
アツい。
アツいぜ今年度の研修生。

1年間の研修プログラムの集大成である修了公演。《山の手メソッド》にのっとって同じ様な稽古をしているはずなのに、毎年全く違ったものが出来上がる。集まったメンバーの個性、そして1年間彼らを担当するエチューダーのカラーによって。

今年度のエチューダーは、ベテラン女優の大久保美智子と演出部の小笠原くみこ。タイプは異なるが、ともに劇団の中でも一際アツい2人である。

大久保美智子、彼女にキャッチコピーをつけるとしたら
「ワイルド・ワイルド・ワイルド」
あるいは
「進撃の小さな巨人」
これで決まりだろう。(個人的な意見です)

小笠原くみこは、いつもにやにやとなにか企んでいる。他の人がアイディアが浮かばず苦しんでいる時、彼女だけは「こうしたらおもしろそうじゃない? げへへへ・・・」心の底から楽しんでいる!!

この素晴らしいエチューダー2人と、19歳~50歳のバラエティ豊かな8人の研修生。やたらアツい10人が総力を結集して挑んでいるのだ。

煮えたぎる『ダイバー』を魅せてくれるに違いない。

名越未央

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