稽古場日誌

ダイバー研修生 研修生 2015/03/12

直球/穂坂拓杜

約1年間を通じてきた《山の手メソッド》とは何か、よくわからない。
僕の素朴な印象をいえば、もともとの巧拙はともかくただひたすら全力で直球を投げる。ぶんぶん投げて肩を強くしていく。変化球で誤魔化そうとしても、厳しい目がそれを許さない。それなのに、直球のはずが曲がってしまうのは大絶賛だったりする。全く混乱させられる。

さて、研修生修了公演も本当にほんとの追い込みの時期。
ただ、やっていることはあまり変わらないと思っている。もちろん完成形にむけて個々の色々な課題は浮彫りになり、焦っている。でもやることはただひとつで、直球を投げることだと思っている。本質のどこまで届くかわからないけれど投げ続ける。自分の不器用さと向き合いながら、色々な直球を試す作業が続く。

そして「ヴォイツェク」の世界。
せせこましくて、熱っぽくて冷たくて、家庭があって仕事がある。さらに浮気から殺人まで。僕は経験したことのない世界。趣向を凝らしてかっこよくとは上手くいかない。よし、まるっとゴロッとシンプルに投げてやろうと思っている。

穂坂拓杜

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