稽古場日誌

ワークショップ 名越 未央 2015/08/09

大森第二中学校ワークショップ リポート

 大森二中WS2

大森二中WS3

山の手事情社では、小学生〜高校生の児童生徒を対象とした演劇ワークショップにも力を入れています。
今回は、大田区の大森第二中学校でのワークショップの様子を、俳優部の名越がリポートします!
演劇部はないそうで、映画鑑賞部と美術部の約20名が、3週にわたって全3回開催したワークショップに参加してくれました。

第2回目には、劇団の若手俳優4名とともに、「プロの舞台俳優の稽古を体験してみよう!」というテーマに挑戦。ふだん山の手事情社で取り組んでいる発声や歩行などの稽古を見学したあと、実際に体験していきます。
氷上をスケートで滑るような身体で進む「スケート歩行」は、簡単そうに見えて、やってみると実はすごく難しい。手本と見比べながら「どこがどう違うんだろう!?」とみんなで四苦八苦。
そのうちに「わかった!」「こうすればいいんだ!」と、自分なりに何かを発見しては自分の身体で試してみて、「やっぱりちょっと違う・・・」ああでもないこうでもないと、頭と身体をフル回転させながらチャレンジを繰り返していました。

劇団員とペアを組んで二人組の漫才にも挑戦しました。
「漫才!? おもしろい話なんていきなりできない・・・」と最初は尻込み。しかし、「最近ムカついた話」を語ればいいと聞いて、「それなら話せそう!」という生徒がチラホラ。
テストの点が悪くて親にスマホを没収された話、コンビニでおにぎりを横取りされた話、班長がちゃんと仕事をしてくれない話、友達に変なあだ名をつけられた話などなど、中学生らしい様々なエピソードが飛び出しました。
みんなムカつくことは日々たくさんあるけれど、なかなか大きな声では言えずに我慢しています。まさか学校でみんなの前で語っていいなんて!? 戸惑いながらも、語るうちにだんだんと生き生きしてくるのがわかります。
どんな風にムカついたのか、その時の状況を思い出し、ムカついた相手のモノマネをしてみたりして、一生懸命自分の想いをみんなに伝えようとします。その様子がおもしろくて、見ているみんなは大笑い。大きな声で怒って笑って、みんなでスカッとして、その日のワークショップは幕を閉じたのでした。

今回の演劇ワークショップに参加してみて、みんなびっくりすることが多かったようです。
人前で話すのは嫌だったのにやってみたら楽しくなってきた自分に驚いたり、友達が普段と全然違う雰囲気で演技をしていてすごいと思ったり、演劇って実は自分でも出来るんだと思ったり、逆にこんなに難しいの!?  と戸惑ったり。
自分と、友達と、演劇と、みんなにとって何かわくわくするような出会いになったのではないでしょうか。
そしてこれからも、恐れず果敢に新しいものと出会っていくきっかけにしてくれれば、と思います。

名越未央

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