稽古場日誌

昔々、「腹を立てずに」「怒らずに」「穏やかに」と過ごしてきた。別に誰に言われたわけでもなく、自分で選んでそんな態度をとっているのに「なんで私ばかり我慢するの?!」って思っていた。

「辛そうに見えるかもしれないけど、私、平気よ~」って頑張っていた。多分、隠せてなかっただろう。でも精一杯頑張っていた。

あー、思い出しただけでもイヤになる。

上京して13年。
変わりたくて上京したわけではないけれど、多分あの時よりは強くなったと思う。
もちろん年をとったせいもあるだろう。
でも、演劇と出会い、たくさんの作品と出会い、妄想なんかしちゃったりして。そんな時間を過ごしていたら、今まで無理して頑張っていたことなんて気にならなくなった。無理して頑張っていたことを笑えるようになった。

あー悲劇って素敵。こんなにも人生が楽になるなんて。
強くなるための特効薬。

福冨はつみ

写真は吉祥寺シアター近くの火弖ル(ほてる)前で。ここのビールは格別です!

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『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』、両作品が「悲劇」であることにちなんで、「私と悲劇」をテーマにした稽古場日誌を連載中です。
それぞれの生活感あふれる「悲劇」をどうぞお楽しみください。

『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html

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