稽古場日誌
タイタス・アンドロニカス/女殺油地獄 斉木 和洋 2015/11/10
「女殺油地獄」は、油屋の放蕩息子が借金に困って、同じ油屋を営んでいる近所の奥さんを、金の無心をしたあげくに刃物で殺してしまうというお話なのだが、ニュースを見ていると、似たような事件が繰り返し報道されている。
当たり前だが、人を殺したこともないし、これからもないと思う。
しかし、衝動的に感情が湧いてきて、気づいたらやっちゃってしまったことはある。
正確には、感情が湧くというよりは、やっちゃってしまって、後からことの重大さに気づくのだが、何らかの理由で、感情をおさえる常識的な感覚が麻痺しているときに、やっちゃってしまうのである。
やっちゃってしまったこと、あるよね、きっと誰でも。
斉木が経験したことの詳細は省くが、与兵衛がやっちゃってしまったことは、ものすごく身近なところにあるなあと、稽古を見ていて、繰り返し思うのである。
これを書きつつ、これまでやってしまった数々のやっちゃってしまったが去来しましたが、舞台のうえでは、少なくとも感情的にはやっちゃってしまえるので、思う存分やっちゃってしまおうと思います。
斉木和洋
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『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html