稽古場日誌

傾城反魂香 川村 岳 2017/09/07

役はめぐる

現在山の手事情社アトリエでは『傾城反魂香』に向けて絶賛稽古中です。
 
山の手事情社の特長のひとつに《集団創作》があります。演出家が全てを決めるのではなく、俳優ひとりひとりがアイデアを出し合いシーンを立ち上げていく作り方です。
 
先日あるシーンを創作している時での出来事。
ベテランの斉木さんが若手俳優陣に的確な指示を出してシーンをつくっています。
「ここで、こう動いて」
「この時は普通立ち尽くすけど、やっぱりこっちの演技プランの方が良いな」
ふむふむ成程、と感心する若手俳優陣。
 
「ここでこう動きたい」という演技プランはあっても、周りのメンバーが知らないと上手くいかないことはままある。俳優を生かすも殺すも周りの協力次第なのだ。
 
《四畳半》を始めた時は慣れていないこともあり、俳優が各々好き勝手に動いていた。
そういう時は結局印象が散漫なシーンになってしまう。
その為に上記の斉木さんのような仕切り役(仮の演出家)がいた方が良いのだ。
仕切り役の意見はもちろん強制ではなく、ひとつの提案・可能性として共演者に投げかけられる。
そしてその意見をもとに、とりあえず動いてみることが大事。想像と現実の動きにどれ位差があるのかで良し悪しを判断する。
《集団創作》はその繰り返しだ。
 
『傾城反魂香』は何度か再演を繰り返しているが、その都度役が変わるメンバーもいます。私は今まで4役、斉木さんは6役も演じてきた。2人で大体のシーンは出来る程だ。
 
今回いくつかの役を新しいメンバーが演じます。役に新しい命を吹き込めるか奮闘中です。
俳優が変わると役の印象も変わる→共演者が刺激を受ける→作品全体に影響を与える、という流れになれば良いと思っています。
 
再演なれど再現では無い。10月中旬大田区民プラザでお待ちしています!

川村 岳

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『傾城反魂香』
2017年10月13日(金)~15日(日)
大田区民プラザ 大ホール
公演情報はこちらをご覧ください。
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