稽古場日誌

オドラデク 研修生 2020/03/18

武者修業!

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3月の本公演『桜姫東文章』は公演延期となってしまいましたが、プロの俳優の役作りや演劇が出来ていく過程を見学するのも大切な研修の一環です。研修生たちは足繁く『桜姫東文章』の稽古場に通い、俳優の苦悩を目撃。自分なりの考えを文章にしました。修了公演『オドラデク』に確実に生かされる見学日誌です。
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研修生の加藤彩です。

最近はありがたいことに『桜姫東文章』の稽古を見学させてもらっています。そこで先輩方に掛けられる言葉たちがこちらです。

「彩! 《ルパム》チームに入って!」
「《お題歩行》やるよ!」
「プロンプ入れて!」

けん……がく……?

山の手事情社は研修生と劇団員の距離がかなり近い劇団だと思います。
やらせてもらえること、任せてもらえることがたっぷりと濃密で、日々の学びが非常に分厚いです。
《ルパム》ではこだわる場所がちょっと変わるだけで見え方や雰囲気がまったく違って見えるようになることを知ったり、《お題歩行》では先輩方のアイデアの集め方や発想の転換の仕方を学んだり、プロンプではそれぞれの俳優の呼吸やテンポをなぞって自分にはない速度を体感してみたり……。
すぐに何かにはならないかもしれないけれど、この積み重ねはいつかの私にとって大事な糧になるだろうなと思っています。

山の手事情社の俳優はまず研修生として始まり、《山の手メソッド》を学んでから入団します。
同じメソッドに取り組みながらも、実はアプローチは十人十色。入団してからも日々磨き上げられるそれぞれの哲学に、その人の積み上げた学びや思考、経験の重みを感じます。これこそが、山の手事情社が一筋縄ではいかない凄まじさを演劇につぎ込ませることができる要因のひとつになっていると思うのです。
『桜姫東文章』は、のっけからお坊さんがお稚児さんと心中しようとしたり、お姫様が悪党に惚れてどこまでも身を落としていったりなどと、アクの強い人物たちが縦横無尽に暴れまわる作品です。しかし、強者揃いの山の手事情社もそれに負けじと挑みかかっています。
残念ながら、本番の舞台を見られるのはしばらく経ってからになってしまいましたが、『桜姫東文章』と山の手事情社、この両者が舞台上でぶつかり合ったらどんな作品が巻き起こるのか、どうぞ楽しみにお待ちください。
私も技を盗みつつ、研修プログラム修了公演『オドラデク』に活かせたらと思います。ぜひ劇場へ目撃しにきてください。

加藤 彩

※《ルパム》→日常生活の動きを取り入れたダンス
※《お題歩行》→舞台へ登場、退場するためにテーマに沿った歩行を考えること。
※プロンプ→俳優がセリフを忘れた時、陰からセリフを教える。

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odradek

2019年度研修プログラム修了公演『オドラデク』
日程:2020年4月8日(水)~12日(日)
会場:大森山王FOREST
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『オドラデク』公演について

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