稽古場日誌

オドラデク 研修生 2020/03/20

《四畳半》という表現

=========
3月の本公演『桜姫東文章』は公演延期となってしまいましたが、プロの俳優の役作りや演劇が出来ていく過程を見学するのも大切な研修の一環です。研修生たちは足繁く『桜姫東文章』の稽古場に通い、俳優の苦悩を目撃。自分なりの考えを文章にしました。修了公演『オドラデク』に確実に生かされる見学日誌です。
=========

研修生になってから2度目の本公演、『桜姫東文章』。稽古場では、なんと、山の手事情社の代名詞《四畳半》が見放題である。6月の公演『過妄女』では《四畳半》的表現は薄めだったが、今回の作品はバンバンに《四畳半》をやっている。堪らん。

研修生稽古で数回、ベテラン俳優の山本さんに《四畳半》を指導していただいた。身体感覚は他人のそれと比較し難いもので、山本さんが示す感覚が「分かっているのか」も分からない。しかし、感覚が掴めた(気がする)瞬間、「コミュニケーションってこういうことだ!」という快感を覚えた。
人と対面して言葉等を交わすとき、我々は知らぬ間に感情や気を出したり受けたりしている。
それを感じて、素直に全身で表現する方法が《四畳半》であり、舞台上の人物の感情が演者にも観客にも分かり易くする表現方法である、と私は思う。
また、《四畳半》は舞台上でとても映える身体だと思う。初めて《四畳半》を観たとき、何が何だか分からないながらも、絵面として無性にカッコイイ! という理由から惹かれたのを憶えている。
是非、延期公演の際には、そんな《四畳半》で表現された『桜姫東文章』を観て、鶴屋南北のドタバタストーリーや特殊な演出を五感で楽しみつつ、自分がコミュニケーションの中で受けたり出したりしているものを、俳優の作る身体で再確認していただきたい。

我々の修了公演『オドラデク』は《四畳半》の芝居ではない。が、《四畳半》の根本である日常のコミュニケーションについて、非日常的なほど考え感じたモノを、日常的な身体で表現する。きっと山の手事情社の《四畳半》芝居を観る前の「演劇的身体」の理解にとても役立つと思う。
日常的でありながら、非日常的な我々の身体を目撃しに是非劇場へ足を運んで頂きたい。

柴 十紀子

**********

odradek

2019年度研修プログラム修了公演『オドラデク』
日程:2020年4月8日(水)~12日(日)
会場:大森山王FOREST
詳細はこちら

『オドラデク』公演について

稽古場日誌一覧へ