稽古場日誌

オドラデク 研修生 2020/03/29

10周年

研修生の加藤彩です。
中学生の時に演劇を始めてから、今年で10周年を迎えることとなりました。
もうすこし感慨深い気持ちになるかと思ったのですがそうでもなく、「そんなに何かしてたかな?」という疑問がふわふわと頭のなかを浮遊しているような、そんな状態です。

演劇の稽古といえば、目指す場所は常に果てしなく、いつか何かに届くんじゃないかという藁のような希望にすがりながら小さな小さな手応えを積み重ねていく日々。「自信なんて持てるのかなあ」と新しい作品に取りかかる度に頭を抱えているし、できないという思考の蟻地獄にはまったときはなんでこんなに悶々としなきゃいけないんだろうと投げ出したくなる。「演劇が好き!」と胸を張って言えないときも多々あります。

演劇をしていて一番楽しいときは、作品が舞台に乗って、お客さんに観てもらえているすべての瞬間です。ライヴで演じる私たちに、生身の反応が返ってくる。「観ている人が何かを感じている」って実はすごいエネルギーなんですよ。舞台にビンビン届いています。演劇は、演劇を創る人と、それを観る人で毎回毎回新しく生まれていく。私はそれが楽しくて、その時間すべてをすみずみまで味わいたくて、もっと、もっとと求めていたら、10年、経ってしまったのかもしれないなと思います。

もがきながら積み重ねたものを五臓六腑にまで染み込ませ、舞台でお待ちしております。劇場で、私たちと一緒に『オドラデク』を創り出していただけたらとてもうれしいです。

加藤 彩

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odradek

2019年度研修プログラム修了公演『オドラデク』
日程:2020年4月8日(水)~12日(日)
会場:大森山王FOREST
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『オドラデク』公演について

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