稽古場日誌

オドラデク 安田 雅弘 2020/03/28

『オドラデク』って。

オドラデクは、
カフカの短編小説『父の気がかり』に出てくる
虫とも動物ともつかない奇妙な生き物。
カフカと言えば、私にとっては、『変身』とか、
『城』とか、『断食芸人』とか、私たちの無意識に棲んでいる世界を
文学にした人という認識ですが、オドラデクも例外ではありません。

「自分の中に潜んでいる、自身も把握できていない自己の一部」
というようなコンセプトで芝居を作っているのではないかと、
何回かの通し稽古を見ながら勝手に想像しています。

舞台はシェアハウス。
一応の社会性を身にまとった現代の若者たちが、
自分のオドラデク的な部分に偶然出会ってしまったり、
思わずさらけ出してしまったりする物語です。
若いからこそ予測していなかった自分との遭遇は、衝撃的なのだろうなぁ。
(予測していなかった自分は概ねビックリとガッカリを伴ってやってくるものだし)

そもそもカフカとは関係なく、
演劇にまつわる教養とは、
「徹底的に自分を観察し、可能な限り把握すること」なのですが、
その作業とカフカの世界は、とても親和性があるように感じます。
例年の【研修生修了公演】とも、
また当劇団の本公演とも一味違った若い人々の「とまどい」の世界をどうぞ覗きに来てください。

安田雅弘

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odradek

2019年度研修プログラム修了公演『オドラデク』
日程:2020年4月8日(水)~12日(日)
会場:大森山王FOREST
詳細はこちら

『オドラデク』公演について

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